こんにちは!作業療法士のharuです。
介護施設や病院で仕事をしていると、他職種の方や利用者様から『理学療法士と作業療法士の違いってなに?』と聞かれることがあります。どちらも同じリハビリ職で、一見似たようなことをしているように見えますよね。
でも実は目的も手段も違う、全く別の職業なのです。今日は、そんな理学療法士と作業療法士の違いについて説明したいと思います。あなたはどこまで知っていますか?
理学療法と作業療法の定義
理学療法士法及び作業療法士法によると、理学療法(PT)とは「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。
ざっくり言えば、寝返りを打つ・立ち上がる・歩くなどといった、『体の動きを回復させること』が役割です。リハビリ内容は立位練習や歩行練習のほか、必要に応じて機械を使った物理療法を行うこともあります。
一方、作業療法(OT)は、「身体または精神に障害のある者、またはそれが予測される者に対して、その主体的な生活の獲得を図るため、諸機能の回復・維持および開発を促す作業活動を用いて行う治療・指導および援助を行うことをいう」と定義されています。
体だけでなく心にも働きかけるのが作業療法士の大きな特徴であり、『患者さんの生活を成り立たせること』が役割になります。リハビリの内容は、日常生活動作練習、精神・認知機能評価、生活環境調整、道具の工夫など多義に渡ります。
※PTはPhysical Therapy の略
※OTはOccupational Therapyの略
具体的なケースからみる理学療法士と作業療法士
なかなかイメージが湧かないかもしれませんね。そこで実際に具体的なケースで役割を比べてみましょう。
例えば、脳梗塞により左半身に運動麻痺を呈した患者さんがいたとします。理学療法士は関節や筋肉の様子を観察し、立ち上がる練習や歩く練習を重ね、動くための基盤を作っていきます。
これらを踏まえ、今度は作業療法士の出番です。 単に『動ける』だけではなく、患者さんの生活に生かせるようにアプローチを行います。トイレ動作の獲得を目標にズボンの上げ下げ練習をしたり、歩いてトイレに行くのが大変であればポーダブルトイレを提案したりします。必要に応じて認知機能検査や高次脳機能検査を行うこともありますね。
理学療法士が作ったベースを、作業療法士が生活に汎化させていくといったイメージを持つと良いかと思います。
基本的には今回説明したように、各々の分野内でリハビリ訓練を行うのが一般的です。しかし、理学療法士と作業療法士がバラバラな方向を向いていては、患者さんの安心できる生活には繋がりません。常に情報を共有し、連携しながらアプローチを進めていくことが理想的です。
患者さんの状態によっては作業療法士が機能訓練をしたり、理学療法士がトイレ練習をしたりすることもあります。ここは患者像に合わせて、その都度臨機応変に対応しています。
理学療法士・作業療法士の定義や目的に違いはありますが、「全ては患者さんのために」という最終目標は共通です。もしもあなたが理学療法士・作業療法士を見る機会があったら、どんなことをしているか、是非観察してみて下さいね。