介護職員処遇改善加算で給与は上がる?もらうための4つの条件を紹介

介護職の給料は「低賃金」、「労働に見合っていない」というイメージを持たれています。そして実際、他の職業と比較してもお給料が低いことは明らかです。ですが、ここ数年で少しずつ、介護職員の給料が上がっています。

 

ではどうして上がっているのか、それは「介護職員処遇改善加算」という制度によるものだったのです。

ここでは、介護職員処遇改善加算とは何なのか、給料はどのくらい上がるのかなどについて、ご説明していきます。介護職員不足が叫ばれる中でのこの制度は、一体どんな役割を果たすのでしょうか。

介護職員処遇改善加算とは

介護職員処遇改善加算とは、介護職員が将来的にも安心して働き続けるための制度です。
キャリアアップの仕組みを整え、職場の環境を改善した事業所に対して、介護職員の給料アップをおこなうための費用を支給するものです。

 

これには、介護職の高い離職率を抑えるという意味も含まれています。実際に制度が導入されてから、平成27年と平成28年を比較してみると、9,530円給料があがっています。

ー厚生労働省:平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント

介護職員処遇改善加算をもらうための4つの条件

ここまでの説明で、「どの施設に入職しても給料アップしてるんだ!」と嬉しい気持ちになった方もおられるかもしれません。
ですが、この制度は全ての施設で適応されているのかというと、実はそうではありません。

同じ介護職員でも、給料がアップするケースとしないケースがあり、施設や事業所によって異なるため簡単に貰えるわけではないのです。

 

介護職員処遇改善加算をうけるための、4つの要件があります。

1.介護職員の職位やその仕事内容に応じた賃金体系をつくる
2.スキルアップ研修やそのための計画策定や、資格取得支援の実施する
3.これまでの経験や取得資格などに応じて、昇給していく制度を整備する
4.賃金以外で、職場改善に対する取り組みをおこなう

 

1)介護職員の職位やその仕事内容に応じた賃金体系の整備

一つ目は、介護職員の職位やその仕事内容に応じて、賃金体系の整備をおこなうという要件です。それぞれの施設の中には、介護主任やフロアリーダーなどが存在しますよね。

 

これらの存在を明確にしたり、それらの役職についた時のお給料がどのくらいになるのかを明確にすることや、職員に知らせることが求められます。

これによって、介護職員が将来どのような役職を目指したいのか、どうなりたいのかという将来像を描きやすくなるため、働きやすくなりますよね。

 

2)スキルアップ研修やそのための計画策定、資格取得支援の実施

二つ目は、スキルアップ研修や計画策定、資格取得支援の実施についてです。

これは、介護職員がスキルアップするための研修の費用を負担したり、時間を提供したり、そのための計画を練っていくものです。

 

資格取得支援や研修はもちろんのこと、現場でのもしもの時の対応方法の研修を行ったりすることによって、介護職員が不安を抱えることなく働ける環境作りを行うことが求められます。人手不足で研修なんてできない!という施設ではなく、研修する余裕のある施設のほうが、働く側からすれば魅力的です。

 

3)これまでの経験や取得資格等に応じて昇給する制度の整備

そして3つ目は、これまでの経験や取得資格などに応じ、給料があがる制度の整備です。
例えば、介護職員の勤続年数や経験年数などで昇給する仕組みをつくったり、実務者研修、介護福祉士などの持っている資格に応じて昇給するというような感じです。

 

いつ昇給するのか全くもって不明という事業所と、〇〇すれば昇給することが明確になっている施設では、やはり後者のほうが働きやすいですよね。

 

4)賃金以外の職場改善に対する取り組み(介護腰痛対策や休憩室の整備など)

そして四つ目は、賃金以外の職場改善についての取り組み(介護腰痛の対策や休憩室の完備など)です。
転倒やケガなどの防止、腰痛対策の実施など、職員のことを考えて、職場改善に取り組んでいきましょうということです。

 

休憩室とは名ばかりのところも、整備されることで少しは休める空間になります。
介護職員は夜勤もあるため、休憩室があるかないかでその日の疲れのとれ具合も異なります。

 

キャリアパス要件と職場環境等要件

この4つの要件のうち、1・2・3はキャリアパス要件といい、介護職員のキャリアアップの仕組みづくりについての要件になっています。
そして4は職場環境等要件といい、介護職の人材を育成、職場での腰痛を防止、ということについての要件です。

どちらの取り組みも介護職員にとってマイナスとなる部分がなく、より働きやすい環境を目指すことができます。

 

対象職員

介護職員処遇改善加算の対象職員は、その施設で働く介護職員のみです。
例え同じ施設で働く職員であっても、看護師や事務員などには適用されませんので、注意してください。

介護職員処遇改善加算でいくらもらえる?

気になる点は、これによって、一体いくら金額が貰えるのかという点ですよね。
実は、この支給金額は、先ほどの4つの条件のうち満たした数によって、支給金額が異なってきます。

 

*キャリアパス要件1/2/3/職場環境等要件の全てを満たした場合・・・37,000円相当
*キャリアパス要件1及び、キャリアパス要件2に加えて職場環境等要件を満たした場合・・・27,000円相当
*キャリアパス要件1又は、キャリアパス要件2に加えて職場環境等要件を満たした場合・・・15,000円相当
*キャリアパス要件1、キャリアパス要件2、職場環境等要件のいずれかを満たした場合・・・13,500円相当
*キャリアパス要件1、キャリアパス要件2、職場環境等要件のいずれも満たさない場合・・・12,000円相当

 

キャリアパス要件全てと職場環境要件を満たしている事業所の場合、37,000円相当の支給を受けることができるのです。
ちなみにこの支給金額は、介護施設職員全体でなく、職員一人あたりの支給金額です。

 

実際には介護職員の給料はいくらあがるの?

このような支給金額とはなっていますが、37,000円相当の金額が支給される施設では、一体どのくらい給料があがるのでしょうか。

介護職員一人につき37,000円の支給額があっても、それがそのまま介護職員に支給されるわけではありません。

処遇改善手当の支給方法や時期、そして金額については、事業所の管理者に一任されます。
そのため、月給に直接反映される場合があれば、賞与に反映される場合もあり、さらには反映される金額も違ってきます。処遇改善手当を受けている事業所でも、全員に同額が支給されるわけではありません。

まとめ

介護職員処遇改善加算は、介護職員の味方である制度だと分かりました。

ですが、支給されるためには施設や事業所が条件を満たさなくてはならず、その満たした数によって支給額が異なるという点が重要なポイントです。

さらに、処遇改善加算を受けても、職員に支給される金額や時期等は管理者の裁量に任されているため、いくら給料が増えるのかという点は分かりません。

 

とはいえ、介護士の給料が少なからず増加する制度であることに間違いはないため、この加算を受けている介護施設・事業所に入職したほうがいいですよね。今後も、介護職員が働きやすい環境や給料アップの仕組みが整っていくといいですね。

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