介護口腔ケア推進士の資格とは?

介護口腔ケア推進士は、今後ますます介護の現場で求められる口腔ケアの大切さを広めるものと期待されています。
ここでは、誕生して日が浅い介護口腔ケア推進士の資格についてご紹介します。

介護口腔ケア推進士とは

歯周病をはじめお口の中の衛生状態が心疾患や脳血管障害など、重篤な病気の原因になると知られるようになりました。とりわけ介護の現場では、高齢者や障害者など要介護者の口腔ケアは健康をサポートする重要なものと位置づけられています。

 

そんな中、登場したのが介護口腔ケア推進士です。2014年2月にスタートした民間資格で、一般社団法人総合健康支援推進協会が運営しています。

 

食事は単にお腹を満たすだけではなく、バランスの良い栄養を取り入れて健康をキープするという役割も持っています。くわえて、お年寄りや障害を持つ人たちにとって、いつまでも自分の歯でおいしく食事できることは日々の楽しみにつながる大切な問題です。

 

一方、介護職員にとって食事介助は時間や負担の大きな業務です。日々の食事や歯みがき、うがいなどを通して、要介護者の口腔内の衛生状態を保つ努力は介護の現場の人材不足や業務改善にも役立ちます。

 

介護口腔ケア推進士の持つ知識を現場で活かすことで、要介護者の口腔ケアの質を向上できます。そして、介護を必要としている人たちのQOL(人生の質)アップのお手伝いもできます。

介護口腔ケア推進士の役割

介護口腔ケア推進士は、人間が食事をするときに使う身体機能にまつわる知識や技術を介護の現場で活かせます。

具体的には、要介護者の日々の歯みがきやうがいなど、口の中をきれいにするといった基本的な指導をはじめ、「噛む(咀嚼)」「飲み込む(嚥下)」など、老化や病気・ケガによって低下しやすい機能の支援を行います。なぜなら、摂食障害や嚥下障害があると、免疫力の低下、栄養摂取率の悪化、さらにQOL低下など、要介護者の人生に大きな影響を及ぼすためです。

 

さらに、高齢者は入れ歯や義歯、ブリッジを使用している割合も高いので、介護口腔ケア推進士が利用者や職場のスタッフに正しい取り扱い方や清掃方法などの指導を行うこともあります。

 

こうした口腔衛生は誤嚥性肺炎の予防につながるなど、介護の現場では大切な日常業務です。介護職や看護師が口腔ケアの知識や技術を再確認しておきたい場合はもちろん、要介護者を持つ家族が介護技術の一つとして身につけたい場合にも役立ちます。

介護口腔ケア推進士の活躍の場

2015年から本格的に導入された介護保険報酬の口腔衛生管理加算。これは、歯科衛生士が介護施設の利用者に口腔ケアを実施すると算定できるものです。

導入の背景には、要介護者の健康状態にとって口腔ケアの重要性が改めて見直されているからといえます。

このように、介護の現場では日々の業務の中で口腔ケアの正しい知識と指導を行える人材が求められています。介護士や看護師をはじめ介護施設で活躍している人たちは一定の歯科衛生や口腔ケアの知識は持っているものの、要介護者に対して適切な口腔ケアの知識を改めて学ぶことが大切です。

 

さらに、介護口腔ケア推進士は単に口腔ケアの分野のみに限らず、要介護者との円滑なコミュニケーションの方法や、訪問介護の利用者宅での本人および家族との接し方のコツも学びます。

介護口腔ケア推進士の難易度

受験資格はなく、介護口腔ケアに関心のある人なら誰でも受験できます。検定試験は、公式テキストの内容をベースに応用問題や時事問題を含んだ内容です。CBT方式(パソコン画面に表示される問題をマウスやキーボードで回答していく)で回答していき、総得点の7割が合格基準。さらに、その回ごとに問題の難易度によって点数が補正されるしくみになっています。

 

問題形式は全50問、5肢一択式。問題全体の6割から7割が基礎的な知識を問う問題なので、公式テキストの内容を一通り理解しておけば、まず対応できるはずです。試験の公式サイトにも「この試験は基本的に落とすための試験とは考えておりません。日頃、テキストを読んで勉強していれば普通に合格できるように出題しております。」と明記されています。

 

ちなみに、2014年に実施された第2回試験の合格率は86%と高いものでした。

介護口腔ケア推進士の試験概要

●試験日程
試験は毎回、一年のうち、数ヶ月単位と長期的に実施されています。たとえば、第24回の実施期間は2019年8月23日から12月23日、申込期間は7月22日から12月17日です。

 

●試験会場
全国各地のテストセンター(約220カ所)

 

●申込方法
インターネットの介護口腔ケア推進士公式サイトから申し込み。受験予約は希望する受験日の1ヶ月前から3日前まで。

 

●受験料・支払方法
8,300円(税込)
ただし、10月1日から8,460円(税込)
クレジットカードまたはコンビニ支払い/easy-pay

 

●合格発表
テストセンターでの試験終了後、その場で合否判定がわかります。当日、正答率が問題のセクション別で印刷された試験結果レポートも配布されます。

 

●認定証発行
合格者は希望すれば認定証を発行手数料3,000円で入手できます。認定証は申込から約1ヶ月程度で自宅住所へ郵送されます。

介護口腔ケア推進士は一度取得すれば更新の必要はありません。

介護口腔ケアの普及に期待

介護現場で口腔ケアの正しい知識や技術が広まっていくと、介護現場や介護費の負担軽減につながります。また、介護を受ける本人や家族のQOL向上にも役立つのが、介護口腔ケア推進士の資格の特徴です。ぜひ介護に関わっている、関心があるといった人は、検定試験の受験を考えてみてはいかがでしょうか。

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