『介護職の給与は低い』そんなイメージを持たれている方、非常に多いのではないでしょうか。インターネットで「介護職 給料」と検索ワードに入力すると「安い」というキーワードが候補に挙がってくるほどです。
しかし、実際はどうなのでしょうか?皆さんは介護職のリアルを本当に知っていますか?そこで今回、浦和大学 介護福祉科の先生方のご協力のもと、<介護の扉>というタイトルで介護業界の実態についてコラムを発信していきます。
今回は【キャリアアップとともに上昇する介護職の所得】のテーマで浦和大学 短期大学部 介護福祉科学科長 松嵜久実先生のコラムです。
介護職の待遇改善は、年々進んでいますが、介護職員と他の産業従事者の平均賃金には大きな差があることが指摘されてきました。
しかし、経験年数を考慮した賃金比較では、他の産業との差は小さいのです。
介護職員の賃金が他産業と比べて低く現れる(「賃金構造基本統計調査」等)のは、第一に、介護の仕事が近年急激に拡大し、年齢が若い職員が多く、平均賃金が低くなりやすいことです。
ある調査では、職員の過半数が月収15~20万円と回答している場合でも、10年以上の経験者の場合は、20万円以上との回答が過半数を占めています。
経験年数で賃金水準は大きく異なるのです。
第二に、介護職員はキャリアアップしていきますが、統計では「福祉施設職員」には、介護職員がキャリアアップ後の昇進として施設長や相談員が含まれないことが指摘されています。
2008年の調査では、特別養護老人ホームの25歳職員の平均給与が月額約21万円であるのに対して、施設長は約50万円で大きな開きがあります。
以下の図は、福祉施設の介護職員と他産業、他職種の賃金を勤続年数を考慮して作成しています。
男性の介護職員賃金は、理学療法士・作業療法士の下にありますが、臨床検査技師や看護師より上位にあり、全体のなかで中位水準にあるといえます。
女性の場合は、看護師に続く位置にあり、臨床検査技師・理学療法士・作業療法士・保育士よりも上位にある職種なのです。
施設が増加して、大規模化した結果、中間管理職は増加しています。男性、女性いずれもキャリアアップしていく可能性が高まっているのです。
大学の近隣の施設では、介護・看護部門のリーダーである課長に、介護職が付き500万円を上回る給与を得ています。 30歳前後の男性でも、400万円を超える給与を得ることは決して難しくありません。チームを束ねるスキルを学んで、キャリアアップしてもらえるように教育していきます。
浦和大学 短期大学部
介護福祉科学科長 松嵜久実先生より(浦短通信 介護の扉 第9号)
この記事を読んだ多くの方は、少しビックリされたのではないでしょうか。介護職は、3Kの代表格のように扱われたり、給与が低い等、マイナスと捉えられてしまう情報だけが残念ながら広まっている世の中です。
しかし、しっかりと実情を知れば、『命』を預かる責任ある仕事に対してプロフェッショナル達が日々奮闘している現場には、正当な評価がなされています。偽りの情報ではなく真実が、世に知れ渡ることを心から願います。