日勤・夜勤・ケース別の具体的な介護記録実際の事例をご紹介します。日々の介護記録の参考にしてみてください。
介護記録の基本的な書き方はコチラをご覧ください。
目次
日勤・夜勤の介護記録事例
入浴
入浴は、人手の多い日勤帯に行う施設が多いです。
ほとんどの介護記録用紙には入浴欄がありますので、入浴した日には必ずチェックを入れ、記録を残しておきます。
シャワー浴であったり清拭で済ませた場合はその旨を記入、入浴中に特変があった場合もきちんと記録しておきます。
夕食
夕食に限らず、食事量は必ず記録していきます。主食、副食を何割食べたかに分けて書きます。
全量摂取の場合ですと10/10の記載となり、そちらの半分づつ食べた場合には5/5と表します。
食事の量に限らず、様子に変わったことがあれば必ず介護記録に書いておきます。
帰宅願望
帰宅願望の場合は、どのように発言され行動されていたか、それに対しどのように対応したか、その対応によって帰宅願望はどうなったかを記録します。このような行動に対し、他の職員はどうしているのか、そしてどのような対応が効果があって、逆に無かったのか、介護記録に残しておくことで他の職員がいつでも目を通し、参考にすることができるようになります。
情報の共有ツールとしても上手に介護記録を利用しましょう。
頭痛の訴え
頭痛に限らず、体調不良の訴えがある場合、看護師のいる施設でしたら必ず報告します。
しかしながら看護師が勤務していない時間であったり、そもそも看護師のいない施設ということもありますので、そういった場合は介護職員が対応し、記録を残します。
特に頭痛の場合は、ごく軽度で様子を見ていいものから重篤なものまでありますので、まずは血圧や体温を測定し、頭痛以外の症状が無いか確認、そしてどのように痛むのか、薬は飲んだのかなどを必ず介護記録に残します。
もし、のちほど受診が必要になったり、看護師や医師が状態を見る際に必要と思われる情報については、必ず記録しておきましょう。
転倒
転倒に関しては、その瞬間を職員が見ていれば、どのような時にどんな原因で転倒し、どこをどれくらいの強さで打ったのかわかるのですが、見ていないことも多々あります。
転倒して起き上がれなくなっている利用者を発見した時は、もしかしたら骨折しているかもしれず、下手に動かさないほうがいいこともあります。発見時からどのような会話がなされ、どのように動いたのか、その後の様子などをきちんと介護記録に記載しましょう。転倒の場合は、前述しました事故報告書の記入対象にもなります。二度と同じことがおきないように、どちらも詳しく書いておきましょう。
体調不良や転倒の場合は、のちのち悪化することもあります。その時に自分がいなくても記録を読めば分かるように、詳しく書いておきましょう。
夜間の徘徊
本来であれば寝るべき時間帯に徘徊するというのは、昼間の生活にも支障をきたしかねない行為です。
夜間寝ていないと、翌日足元がふらついて転倒する恐れも増えますので、どれくらいの徘徊があったかをきちんと介護記録に書いておきましょう。
何らかの対応をすることでこの行動をなくすことができれば、徘徊する本人も楽になります。そのためには行動パターンを記録し、夜勤をしていない職員も介護記録を見て対策を検討できるようにしておきましょう。
ケース別の介護記録事例
日常の場合
日常生活の様子
食事の量に加え、水分摂取量も記録します。デイサービスの場合は、家ではなかなか食事や水分が取れない方が来られることもありますので、利用中はしっかりと水分補給を促し、どれくらい飲んだかを家族等に報告する必要があります。
そのほかに、他の利用者との会話内容やその様子、トイレの回数等記入、変わった事があればもちろんその内容を詳しく記録しますが、特にいつもと変わりがないようでしたらそう細かく書く必要はありません。
睡眠
消灯時間から起床時間まで、特に問題なく寝ている場合は「夜間良眠」の表現で簡単に済ませます。
ただ、頻繁に目を開けていたり、明らかに睡眠が充分足りていない場合には昼夜逆転の恐れも出てきますので、細かく記録していきましょう。
「22時巡視時開眼されており、眠れないと訴えられる。その後0時の巡回時にも目を開けておられた。22時以降眠れていないとのこと。2時、4時の巡視時は良眠。5時に起床され、特に眠そうな様子もなく朝食を完食される。
薬を飲む
手渡しするだけで問題なく服薬される方は特に介護記録に記載することはありませんが、何らかの工夫が必要な方、服薬拒否のあった方はきちんと記録しておきます。
また、頓服を内服されたときもその旨の記録が必要です。
「夕食の薬を「飲みたくない」と拒否されたため、一時間後に再度声かけ、すんなりと飲んでくださる」
「頭痛の訴えあり、処方されている頓服を19時半に服用される。21時お伺いすると、もう痛みはなくなったとのこと」
尿
排尿も排便同様、回数や量を記録し、こちらに関しては色や匂いも異常があれば介護記録に記しておきましょう。
「オムツ内失禁多量にあり」
「トイレの際、排尿ごく少量しか出ず、尿色麦茶色」
排便
排便の記録は非常に重要です。回数はもとより、その形状や量も書いておきましょう。
この、量に関する表し方は施設ごと様々です。「どんぶり」「おわん一杯」といった表現をするところもありましたし、「手のひら」「親指程度」と記すところも。
多量、普通量、少量といった表し方をする施設も多くありますが、トイレ誘導やオムツ交換などで把握できる方に関しては、きちんとした量を記録することが大切です。
「トイレにて普通便多量あり」
「オムツ交換時、泥状便おわん一杯程度あり」
「紙パンツ内小指ほどの硬便あり。その後トイレ誘導にて排便ごく少量、こちらも硬便」
帰宅時のオムツ着用
デイサービスの苦情で意外と多いのが、オムツが汚れたまま帰宅してきた、というものです。
帰ってくるまでの間に汚れることはあるとは思いますが、やはり帰宅前にきちんと確認し、できるだけきれいな状態で家に帰ってもらうようにしましょう。
利用者によっては、デイにいる間だけ紙パンツだけれども、帰るときにはオムツにしてほしい等の希望があります。
この人はどういったオムツで来て、帰るときはどうするのかもケース記録に書いておきましょう。
自分でしっかりとトイレに行かれる方以外は、排尿の回数や排便回数もケース記録に記録しておきます。
入浴の中止
デイサービスの場合、「入浴加算」というのが算定され、入浴をしなかった場合にはこの加算は請求しません。
この入浴はシャワー浴も含まれますが、浴室に行かずトイレやベッド上で陰部洗浄、清拭で済ませた場合はこの加算を算定する事ができませんので、請求時のためにも入浴をしたのかしていないのか、きちんとケース記録に残す必要があります。
家ではお風呂に入ることができないので、入浴を目的としてデイサービスを利用されている方もいらっしゃいますので、そういった際には入浴に変わる身体保清を行い、記録しておきましょう。
ケガの場合
あざ
入浴の際には、必ず全身を確認します。あざがあった場合には必ず看護師に報告しましょう。
最近転倒したりどこかで打ったことがないか利用者に確認し、その内容も記録しておきます。
本人が気づいていない場合もありますし、もしかすると家庭内での虐待の可能性もあるかもしれません。
覚えのないあざの場合は、ケアマネージャーに報告を入れてもいいでしょう。
あざの様子を見ると、だいたいいつごろできたものかは推測できますので、その辺りもきちんとケース記録に書いておきます。
腫れ
「右ひざ全体に腫れあり」「右足首から足背にかけ、腫れ、熱感あり。痛みあり」
こういった、よく腫れる一般的な場所に関しては、部位や痛み、熱感のありなしを記録するだけで事足りるのですが、どうしてここが腫れているのか?という場合はもう少し細かく書きます。
「左上腕に約7センチの腫れあり、痛みはなく痒みがあるとのこと」
大きさはセンチで表すこともありますし、手のひらサイズ等の表現をすることもあります。
傷
「左膝に5センチ程度のすり傷あり。出血はなく、かさぶたになっている」
「右手背に3センチほどの浅い切り傷あり、やや血がにじんでいる。消毒しカットバン保護する」
「背中にたくさんのかき傷あり、痒みがひどいとのこと」
上記のように、意外と見落としがちなのがかき傷です。高齢者は皮膚の乾燥から痒みが出ることも多く、傷に気付く事ができれば保湿剤等の処方を検討できますので、しっかり記録しておきましょう。
打撲傷、損傷
知らないうちにできていることも多い打撲傷や損傷は、前述しましたとおり入浴時が最大の観察チャンスです。
この手の傷に関しては、色味からだいたいどれくらいの時期にできたものかを推測できるので、その辺りも介護記録に記載します。
「太ももに、15センチほどの打撲あとあり。黄色く広がっているので数日経っている様子。一週間ほど前に机にぶつけたと言われるも、今はもう痛みはないとのこと」
皮膚の異常
皮膚症状としては発疹や発赤のほか、じょく創があります。どちらも発見次第、すぐに看護師や医師に報告するべき症状ですので、その時ににわかりやすいようにしっかりと介護記録に書いておきましょう。
外傷としての皮膚剥離は、後にご説明致します。
「胸全体に赤みを伴う発疹あり、かゆみの訴えがある。その他の部位には症状なし。前回の入浴時には見られなかった」
「仙骨部に5センチ程度の発赤あり、皮がめくれそうになっている。看護師に報告し、仙骨が当たらないように体位交換を行う」
特にじょく創に関しては、悪化する前に予防することが一番なので、できやすい箇所は必ず確認し、発見次第きちんと記録しておきましょう。
皮膚剥離、表皮剥離
高齢者は皮膚が弱くなっていることが多く、少しの接触で皮膚がめくれてしまうことがあります。
皮膚剥離、表皮剥離と表現します。
こちら関しても、大きさや出血の度合いを記入します。
「右上腕に4センチほどの皮膚剥離あり。出血は止まっており、めくれた皮膚も固くなっている」
「左足首に約5センチの表皮剥離あり、めくれて間もない様子で出血も見られる。〇〇看護師に報告し、処置を依頼する」
多くの皮膚剥離は処置が必要ですので、看護師に報告し、その旨も記録しておきましょう。
以上介護記録の事例でした。ぜひ参考にしてみてください。