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人手不足に悩む介護業界。外国人労働者を招き入れるために入管法改正によってできた新しい在留資格で、介護分野では今後5年間で約6万人の就労を見込んでいます。しかし、2025年に約34万人の介護職員が不足するとみられている現状から考えると、とても追いつくものではありません。人手不足の大きな要因の一つに挙げられているのが、介護職員の給与の安さです。それが離職率の高さの一員にもなっています。介護職員の給与はなぜ低いのか、考えてみました。

介護労働者の給与の実態

一般労働者との年収差は約160万円

まず、介護職員の給料の実態を、厚生労働省の2017年度「賃金構造基本統計調査」で見てみましょう。

残業代や休日手当などの時間外勤務手当てを含めた「毎月決まって支給する現金給与額」は、福祉施設介護員(10人以上の施設)で23万3600円。一般労働者の平均は33万3800円ですから、約10万円の差があります。さらに、賞与などは介護員が49万3300円なのに対し一般労働者は平均90万5900円で、年収では約330万円対約490万円と、実に約160万円もの開きが出ます。

 

 

介護職員の平均給与については別の調査結果もあります。

厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査」ですが、それによると、2017年9月時点で賞与をのぞいた基本給と手当ては24万8000円(月額)になります。ただし、これは「介護職員処遇改善加算(Ⅰ~Ⅴ)」を取得している事業所の平均です。介護職員処遇改善加算については後で詳しく説明しますが、1割の事業所はこの加算を取得していませんので、全施設の平均ではさらに低くなります。

 

とはいえ、これでも一般労働者との差は縮まっています。2012年からの5年間で、一般労働者の給与が8200円アップしたのに対し、福祉施設介護員は1万5200円増えたのです。処遇状況調査においてもこの間、2万3690円増えています。それでもこれだけの差がある一番の理由は、介護保険制度にあるといえるでしょう。

介護保険制度の限界

介護報酬の制約を受ける

最大の問題は、福祉施設の収支構造です。同じ福祉施設でも入居型サービスと、訪問サービスとでは違いがありますが、どちらも収入はほぼ介護報酬に限られます

 

 

介護報酬は、2000年にスタートした介護保険制度で定められたもので、介護サービス事業者が利用者にサービスを提供した場合、その対価として事業者に支払われます。財源となるのは40歳以上に義務付けられている介護保険料と公費で、50%ずつとなっています。介護サービスは原則1割が本人負担で、サービス利用料の残りを市町村から、つまり保険料と公費によって賄われます。報酬額は、厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聴いて決めますが、3年ごとに見直すことになっています。

介護報酬とは

 

介護保険制度は、介護を必要とする高齢者とその家族を社会全体でサポートする仕組みです。介護は家族の役割という従来の考えを転換したもので、画期的ともいえる制度です。

 

ただ背景には、急速に進む少子高齢化により医療費を含めた社会保障費が財政を圧迫し、従来の老人福祉制度がパンクするという事態に直面したことがあります。したがって、介護報酬は低く抑えられています。介護報酬を大盤振る舞いするのでは、社会保障費の増大に歯止めがかからないからです。つまり、

・介護事業者が介護職員の給料を上げるためには介護報酬が増えなければならない
・介護報酬は保険料と公費で賄われる
・国は社会保障費を抑えたい以上、介護報酬をむやみに上げるわけにはいかない

こういう仕組みになっているため、事業者の収入はなかなか増えず、人件費も抑制傾向が続くわけです。しかも、介護報酬を収益事業や投資に回すことは禁じられていますから、介護報酬の増減が事業所の経営を直撃することになります。

 

実際、介護報酬はこれまで―2.27%~+3.0%の幅で見直されてきましたが、介護報酬が引き下げられた年は介護事業所の倒産が増えるという傾向が出ています。

介護職員処遇改善加算が給料引き上げの財源に

では、介護報酬が大きく引き上げられないのに、なぜ過去5年で一般労働者よりも大幅に介護職員の給料が増えたのか。その答えが「介護職員処遇改善加算」です。

 

国は2009年の介護報酬改定以降、「介護従事者の処遇改善と人材確保」に重点を置いてきましたが、それを具体的にしたのが、介護職員のキャリアアップの仕組みをつくったり環境改善を図ったりした事業所に、介護職員の給料をアップするためのお金を支給するというこの制度です。

 

取り組みの程度によって13,500円~30,000円と開きがあり、加算分は職員の給料アップに使うことが義務付けられ、流用は認められません。一方で、だれにいくら支給するかは事業主の裁量に任されています。勤続年数や資格の有無、雇用形態によって決めているところが多いようです。

 

支給方法では、勤続が1年延びるごとに賃金表に従って増額する定期昇給にとどまるところが最も多く、一時的な賞与への加算や手当てを改善・新設して対応しているところもあって、ベースアップで給料を引き上げた事業所は2割強にとどまります。介護職員の平均勤続年数は6.4年(2017年度賃金構造基本統計調査)であることなどを考えれば、加算制度の効果が十分には現場に及ばないのです。いずれにしても介護報酬という枠がある限り、給料改善の自由度は低いと言わざるを得ません。

高い人件費比率が経営の足かせに

では、介護サービス事業は儲かっているのでしょうか。厚生労働省の2017年度「介護事業経営実態調査」によると、収支差率(収入から経費を引いた額の収入に対する割合)は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で1.6%、訪問介護で4.8%、短期入所生活介護3.8%などとなっています。一時はサービスの種類によって10%を超えるところもありましたが、最近は全体に減少傾向にあります。

 

もっとも、収益の多い分野は介護報酬の改定時に報酬額を下げられる恐れがありますから、調査の制度を疑う声もありますが、一般の中小企業の収支差率が3~4%といわれますので、決して低いとはいえないかもしれません。

 

しかし、介護サービス事業は人件費比率が非常に高いのが特徴です。同じ調査で収入に対する給与費の割合は、介護老人福祉施設で63.8%、訪問介護で75.2%、短期入所生活介護で63.9%などにのぼります。したがって、人件費以外で支出を削減する余地は少なく、収益をあげようと思えば人件費抑制が手っ取り早いのですが、そうすると離職率が高まる恐れが高まるため、そうもできないというのが実態です。

まだ低い専門性と社会の認識

評価を高める専門性向上が求められる

ここまで、介護報酬を中心に経営サイドから見てきましたが、介護職員の給料が上がらないのには、他の要因もあります。

その一つは、介護という仕事の専門性に対する社会の認識が低いことです。

 

介護には、体の起こし方一つとっても介護者にも被介護者にも負担の少ない方法がありますし、3大介護と呼ばれる食事、入浴、排せつ介護でも同じです。もちろん、こうしたテクニックは必要です。

 

しかし、大切なのは、負担軽減にとどまらず、介護される人の生活をサポートすることで、彼らの人生をいかに豊かにするかという視点ではないでしょうか。そのためには、例えば尿失禁の人に対して一律的におむつを着用させるのではなく、その原因に応じた対応をするなど、より専門性を高める必要があるでしょう。

 

ただし、それは介護職員だけの責任ではありません。介護労働安定センターの2017年度「介護労働実態調査」によると、介護職を辞めた理由で最も多かったのが「職場の人間関係に問題があったため」( 20.0%)。2番目が「結婚・出産・妊娠・育児のため」(18.3%)で、それに次いで多かったのが「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」(17.8%)となっています。

 

この調査結果から読み取れるのは、利益優先や合理性を欠く処遇といった事業所側の運営のあり方が、介護職に就いたときの使命感ややりがいを台無しにしている側面があるのではないかということです。もちろんすべての事業所に当てはまるものではありませんが。ちなみに、「収入が少なかったため」は15.0%で、退職理由の6番目でした。

社会の意識改革で介護を支える

もう一つは、介護に対する社会の見方が、昔のままで進化してないことです。「介護は家族がやって当たり前」だとか、「介護はボランティア」だという認識が、介護保険制度が始まって19年になろうとしているのに、今なお残っているため、介護で稼ぐということに対する拒否感、嫌悪感につながっているのです。

 

 

だれもがやがては介護される立場になります。一方、少子高齢化により、家族だけに介護を頼れる時代ではなくなっています。介護職員が熱い思いを持ち続けながら働ける環境づくりが、事業者にも国民にも求められています。

 

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