介護の現場で働く上で、一番避けなければならない介護事故。事故を起こしてしまうと、利用者様やそのご家族に迷惑をかけてしまうだけでなく、介護職員の方自身も、「自分のせいで介護事故を起こしてしまった」と落ち込んでしまい、介護のお仕事を続けるのが億劫になってしまいますよね。
高齢者の方や身体の不自由な方をお預かりする上で、完全に事故をなくすことは、なかなか難しいことですが、介護事故に関する、心構え・予防方法・起きてしまったときの対応法を、しっかりと理解しておくことが大切です。
今回は、介護の現場で起こりやすい介護事故と予防方法をご紹介するので、現在介護職員として働いている方やご自宅で介護をされている方も、ぜひ参考にしてみてください!
目次
介護現場で多い事故
転倒・転落
介護をする上で、一番多い事故は転倒・転落です。歩行中にちょっとした段差で躓いてしまったり、車椅子に座る姿勢を少し変えた時にバランスを崩して転落してしまったり・・・。動いている時はもちろん、座っている時や寝ている時にも転倒・転落の危険は潜んでいます。老化とともに骨は弱くなっていくので、高齢者の方は、少しの転倒でも骨折してしまう可能性があります。
また、その怪我が原因で寝たきりになり、さらなる病気を招いてしまう場合もあります。「施設内に危ない場所はないか」、「介護用具に不具合はないか」などを常に確認すると同時に、複数のスタッフでしっかり利用者様を見守ることが大切です。
誤嚥・誤飲
次に多い介護事故は、誤嚥・誤飲です。誤嚥とは、食物や唾液を飲み込む動作が上手くできず、本来食道を通って胃に入るはずのものが、誤って咽頭や気管に入ってしまうこと、また、誤飲とは、食物以外の有害物や異物を誤って飲み込んでしまうことを指します。老化とともに噛んだり飲み込んだりする力が低下するので、高齢者の方は誤嚥を起こしやすいのです。
また、認知症の方は特に、日常生活の中でも誤飲の危険性があります。誤嚥・誤飲は窒息や肺炎を引き起こす重大な事故になり兼ねないので、注意が必要です。「一人一人に合わせて食形態を改善する」、「誤飲してしまいそうなものはしまっておく」などの対策をして、食事中には常に異変が起きていないか注意して見守るようにしましょう。
人為的なミス
介護の現場では、人為的なミスが大きな事故を巻き起こしてしまう可能性があります。誰しも、どんなに気をつけていたとしても、ミスはするものです。車椅子への移乗の際に利用者様に怪我をさせてしまうなど、介護職員の方自身のミスが、利用者様の命に関わる事故につながってしまう恐れがあるのが介護の現場です。
常にその責任の大きさを意識して利用者様と接すると同時に、些細なヒヤリ・ハット(重大な事故には至らないものの、直結してもおかしくないような事例)でも、周りのスタッフと共有することで、同じようなミスが再発しないように施設全体で対策することが大切です。
介護事故予防の4つのポイント
事故を完全にゼロにはできないと考える
まず前提として、「介護事故はどれだけ予防してもゼロにすることはできない」という認識を持つことが大切です。もちろんゼロにすることが理想ではありますが、あらゆる予防策を徹底して対応しても、思いもよらないところで生じてしまうのが介護事故です。
ゼロにはできないにしても、正しい介護のノウハウを持っている介護職員の方が、利用者様に関する理解と介護事故に関する知識を深めることで、介護事故のリスクを軽減し、事故が起きてしまった際にも、被害を最小に抑えることができます。事故は起きてしまうものという認識のもと、「より少なく、より軽度にするにはどうしたらいいのか」を常に考えて行動するようにしましょう。
ヒヤリ・ハットや事故事例を洗い出す
介護の現場では、人為的なミスが大きな事故を巻き起こしてしまう可能性があります。誰しも、どんなに気をつけていたとしても、ミスはするものです。車椅子への移乗の際に利用者様に怪我をさせてしまうなど、介護職員の方自身のミスが、利用者様の命に関わる事故につながってしまう恐れがあるのが介護の現場です。
常にその責任の大きさを意識して利用者様と接すると同時に、些細なヒヤリ・ハット(重大な事故には至らないものの、直結してもおかしくないような事例)でも、周りのスタッフと共有することで、同じようなミスが再発しないように施設全体で対策することが大切です。
日頃から多方面に信頼関係を築いておく
上記のようなヒヤリ・ハットも、スタッフ同士の信頼関係が構築できていないと、上手く情報共有ができないままになってしまいます。また、介助をする側の介護職員が気が付かなかった些細なヒヤリ・ハットでも、介助をされる側の利用者様は感じている危険や不安があるかもしれません。
ヒヤリ・ハットを洗い出し、施設内の様々な危険に対応していくためには、多くの目で施設全体を見ることが必要です。スタッフ間での情報共有がしやすく、利用者様からの声が届きやすい環境を作るためにも、日常の業務の中で、関わる人全員と信頼関係を築いておくことが大切です。
事故やミスの原因を全員で検討する
どれだけ予防策を実行したとしても、介護事故をゼロにすることは難しいことです。しかし、仕方がないと考えてしまうのではなく、起きてしまったことから、一つでも多くのことを学ぼうとする姿勢が大切です。
事故やミスが起きてしまった原因を、スタッフ全員で検討し、再発を防ぐにはどうするべきなのか考えましょう。事故やミスの発生に関わったスタッフだけでなく、周りのスタッフも、「未然に防ぐために自分ができたことはなかったか」と考えたり、「明日は我が身」という意識を持ち、事故やミスの原因を一緒に検討したりすることを通じて、施設全体で介護事故やミスと向き合っていきましょう。