<介護の扉③>職員間コミュニケーションと研修頻度で二極化する離職率

【介護職=離職率が高い】こんな話を聞いたことはありませんか?…でも実はその話、一部誤解が生じているかもしれません。

 

今回は、介護職の離職率について浦和大学 短期大学部 介護福祉科学科長 松嵜久実先生のコラムをお届けします。


 

介護について多くの誤解が社会にあることを、週刊誌『東洋経済』(5月17日号)が、特集記事「誤解だらけの介護職 もう3Kとは言わせない」で取り上げました。

 

その誤解のひとつが離職率の高さです。

 

よく言われるように、厚生労働省の「雇用動向調査」による全産業の離職率は平成20年から24年にかけて、14~16%で推移しており、同時期の介護職の離職率16~18%は、それに比べると高くなっています。

 

このことから、「介護職は低賃金で重労働であるため、辞めていく」と考える人も多いのです。 しかし、離職率の統計は、図のように30%を超える高い離職率の施設と10%以下という低い離職率の施設に大きく分かれています。

 

離職率が二極化していると言われている現象です。

新人職員には、丁寧な研修をするとともに、年5回の上司面接を行って、コミュニケーションをとっている施設では、離職率は低くなっています。

 

そして、平成20年から25年の間に、離職率の低い施設が増え、高い施設が減少しており、全体として改善傾向にあります。

 

介護職の働き方は、施設によって大きく異なっています。

 

例えば、特別養護老人ホームの介護職で、夜勤勤務の月当たりの回数は、月2回以下の人が6%いる一方で 7回以上の人が5%います(『平成26年版介護労働の現状Ⅱ』)。

 

本校では、こうした施設間の格差を学生に伝えています。 そして、就職活動では、職員のキャリアアップの方針や制度等をきちんと説明していただき、よく考えて就職するように、学生に指導しているのです。

 

浦和大学 短期大学部
介護福祉科学科長 松嵜久実先生より(浦短通信 介護の扉 第4号)


直接の原因ではないにも関わらず、イメージ先行で「重労働だから」と思われている離職の原因。

 

『コミュニケーションを密にとる』

当たり前のことかもしれませんが、忙しい日常では忘れてしまうその一つの行動で、もしかしたら貴重な人材が失われないで済むかもしれません。

このことに、多くの事業所が早々に気付き、離職率の低下に努めてもらえることを願います。

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