介護業界で勤務している方であれば、これまでに体験したことのないような難しいケースに遭遇し戸惑いを感じた経験があるのではないでしょうか。ここでは、私が病院で勤務していた時に遭遇したトラブルとその解決方法についてご紹介していきます。
退院後の生活に不安を抱えるBさん
Bさんは退院が間近に迫っていましたが、一つの不安を抱えていました。それは、自宅の階段を上ることです。脳梗塞で足を悪くしたBさんは、リハビリをして杖歩行が出来るようになるまで回復をしました。通常の道路等であれば問題なく移動することが出来ますが、階段を上ることに対してはまだ不安が残っていました。
リハビリの先生からは、自宅の5段ほどの階段を上る為には、一度座りその状態で一段一段お尻を移動させるような移動方法を勧められました。
Bさんは「あんな格好悪い階段の上り方をしたら、近所の子から笑われてしまう」と悩んでいました。そんなBさんの自宅復帰の為に、病院の相談員から在宅でケアマネジャーをしている私に話があり、私はBさんのケアマネジャー担当になりました。
私は病院の職員とBさんと一緒に、Bさんの自宅へ一時帰宅をしました。どれぐらいの段差があるのか、座った状態での移動しか方法はないのか、など様々な事を検討しました。その際、私は福祉用具を専門に取り扱う業者も呼んでいました。階段を昇りやすくする福祉用具が無いのか調べてもらおうと考えていたのです。
福祉用具の業者は、簡単な工事で段差をゆるやかにする工事を提案し、Bさんはそれを了承してくれました。その後Bさんは介護保険サービスの住宅改修を使用し、費用負担1割で階段の段差を緩やかにすることができたのです。
Bさんの「近所の子から笑われる」という言葉から「恥ずかしい姿を見せられない」という気持ちがあるのだと感じ、出来るだけ通常の上り下りが出来るように配慮することができたのです。