認知症介護では、認知症特有の症状への対応に悩んでいる介護者が多くいらっしゃいます。介護が難しいと思う背景には、認知症の症状や対応についてよくわかっていない、ということが挙げられます。
そこで、今回は「認知症の人と家族の会」副代表理事の杉山孝博医師が提唱している「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」に基づいた対応の仕方を解説します。
目次
認知症対応の大原則
ケアラ
ケアビットは最近、認知症の方への対応で悩んでいるみたいだね。
ケアビット
そうなの...。認知症の方を怒らせてしまったり、言うことを聞いてもらえなかったり。どのように接していいか分からなくなるときがあるぴょん(泣)
ケアラ
そうなんだね、それは辛いね。
ケアビット
それに「何でこんな行動をするの?」って理解に苦しむことも...。
ケアラ
うん、確かに、一見傍から見たら異常な行動をとっているように見受けられる時もあるね。そんなケアビットに、ぜひ「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」知ってほしいな。
ケアビット
認知症をよく理解するための大原則があるの?知らなかったな。どんな内容なの、ケアラ?
ケアラ
認知症をよく理解するための大原則とは、「認知症の人の世界を理解する」ことだよ。認知症の人の世界を理解し、その人の価値観を大切にすることは、本人の自尊心を傷つけることなく安心感を与えることに繋がるんだ。時には本当のことではないことを伝えるなど、不本意な対応をしなくてはいけないこともあるかもしれない...。でも、その人の世界を受け入れることは、長期的にみると介護の混乱や負担を減らしてくれるんだよ。
ケアビット
なるほど!まずは「その方の世界観を理解する」ことが大切なんだね。
9大法則とその対応策
ケアラ
認知症は、大きく分けて9つの特有の症状があるんだ。
ケアビット
それで9大法則なのね!
ケアラ
そう、これから紹介するこの9大法則と、その対応策をよく理解することで、認知症の方に上手く対応できるようになるよ!
ケアビット
わかった!早く教えてぴょん!
記憶障害に関する法則とその対応策
ケアラ
まず、記憶への障害には次の3つがあるんだ。
・直前に行ったことや覚えたことを忘れる「記銘力の低下」
・食事を食べたといった体験そのものを丸ごと忘れる「全体記憶の障害」
・若いころの記憶に戻ってしまう「記憶の逆行性喪失」
・直前に行ったことや覚えたことを忘れる「記銘力の低下」
・食事を食べたといった体験そのものを丸ごと忘れる「全体記憶の障害」
・若いころの記憶に戻ってしまう「記憶の逆行性喪失」
ケアビット
なんだかイメージできないな...。もっと具体的に教えて!
ケアラ
じゃあ、一つ目の「記銘力の低下」について説明するね。
通常、人間は自分の行動を記憶して、思い出すことができるんだ。でも認知症の方は、この記銘力が弱くなってしまう。つまり、認知症の方が何回も同じ話を繰り返すのは、話をしたその直後に、話したということを忘れてしまうからなんだよ。
通常、人間は自分の行動を記憶して、思い出すことができるんだ。でも認知症の方は、この記銘力が弱くなってしまう。つまり、認知症の方が何回も同じ話を繰り返すのは、話をしたその直後に、話したということを忘れてしまうからなんだよ。
ケアビット
そうなんだね。一見何回も同じ話をするって思っても、認知症の方にとっては「初めて話している」んだね!!
ケアラ
その通り!じゃあ次は「全体記憶の障害」について...
ケアビット
...だいたい分かってきたから、また次の機会で大丈夫だよ!(話が長そうだな汗)
ケアラ
..?そう?
ケアビット
..うん!対応策も教えてよ!
ケアラ
...ああそうだった!じゃあ次は、今の記憶障害に関する法則にどう対応したらいいかについて話すね。
簡単にまとめると以下のことが大切だよ。
・聞き流さない
・否定をしない
・気持ちを汲んだ対応をする
簡単にまとめると以下のことが大切だよ。
・聞き流さない
・否定をしない
・気持ちを汲んだ対応をする
ケアビット
...この3つね!わかったぴょん☆
症状の出現強度に関する法則とその対応策
ケアラ
認知症の症状は、普段介護を担っている人に強く出る傾向があるんだ。医師や久しぶりの親族の前ではシャキッとしてしまい、いつもの苦労を分かってもらえない、なんてこともあるよね。
ケアビット
これすごいわかるぴょん!一緒にいることが多いケアビットの前だと特に症状が重いの…。どうすればいいの?
ケアラ
うーん、この症状は原因がまだはっきりわかってないんだ。でもそういう法則が確かにあることはわかってほしいな。じゃないと「なんで私には…」ってストレスになりかねないからね。
身近な人には、甘えが出てしまうものだと割り切って納得するしかないね…汗
身近な人には、甘えが出てしまうものだと割り切って納得するしかないね…汗
自己有利の法則とその対応策
ケアラ
認知症の方は自分に不利なことを認めない傾向があるんだ。これは、自分の能力が低下したことを認めたくないという自己防衛本能だともいわれているよ。
ケアビット
なるほど…言うことを聞いてくれないのはそういうことだったのね!
ケアラ
うん。言い合ってもなんの解決にもならないし、ぐっと気持ちを抑えて話を受け入れてあげてね。
まだら症状の法則とその対応策
ケアラ
認知症の症状は、まだらに現れるんだ。
だからおかしな行動が起きたとき、介護する人も「これは認知症の症状なのだろうか?」と不安に思ったり混乱しやすいんだよね。
だからおかしな行動が起きたとき、介護する人も「これは認知症の症状なのだろうか?」と不安に思ったり混乱しやすいんだよね。
ケアビット
確かにそういう時あるかも…!
ケアラ
迷ったときには「これも認知症の症状の一つ」と割り切って対応すると、介護者のストレスも少なくなると思うよ!
感情残像の法則とその対応策
ケアラ
認知症の方は起こった出来事そのものについては、すぐに忘れてしまうんだ。でも、その時に感じた感情は残るから、介護されていやな思いをすると、その後介護拒否につながることもあるんだ。
ケアビット
前にもそういう方がいてとっても困ったぴょん…。何に気をつければいいの?
ケアラ
介護する場合は、ほめるなどの肯定的な表現を使ったり、共感するようにするといいよ!反対に、否定的な表現や感情任せに叱ったりすることはやっちゃいけないね。
こだわりの法則とその対応策
ケアラ
認知症になると、物事に対してのこだわりが強くなるんだ。
ケアビット
自分の生活スタイルへのこだわりが強くて、ご飯とかお風呂とか全然言うことを聞いてくれないときはどうすればいいの?
ケアラ
介護が難しいときには、こだわりの背景には何があるのかを考えることが大切だよ。対応が難しい場合には、ケアビット一人で何とかしようとしないで、「第三者」に介入してもらうのもいいね!
ケアビット
そっか!こだわりをわかってあげようとすることが大事なのね!
ケアラ
うん。それから、危険がないことなら自由にさせて見守ることも効果的だよ。
ケアビット
やってみるぴょん!
作用・反作用の法則とその対応策
ケアラ
認知症の人に強い対応をすると、頑なになってその後の介護に影響することがあるよ。
ケアビット
それで作用反作用…これも法則なの!?
ケアラ
うん。説得しようと強い口調で話せば、強い姿勢が返ってくる。
実は、これも認知症の症状のひとつなんだ。だから、反発を生まないために、真っ正面から取り合わず、ある程度距離を置いて対応したり、強く言いすぎないようにすることが大事なんだよ。
実は、これも認知症の症状のひとつなんだ。だから、反発を生まないために、真っ正面から取り合わず、ある程度距離を置いて対応したり、強く言いすぎないようにすることが大事なんだよ。
認知症症状の了解可能性の法則とその対応策
ケアビット
本当にわからないことだらけぴょん…。
ケアラ
そんなケアビットに8つめの法則!了解可能性の法則だよ!
ケアビット
了解可能性ってなに…?
ケアラ
一見不可解な行動と思われがちな認知症の症状も、実は理解できることばかりだってことだよ。
ケアビット
ほんとに…?
ケアラ
そうだよ。ほとんどは、介護される人の過去を知ることで納得できることが多いんだ。
介護する人が認知症の人を理解し適切な対応を取るようになると、認知症の方も穏やかな対応をしてくれるはずだよ!
介護する人が認知症の人を理解し適切な対応を取るようになると、認知症の方も穏やかな対応をしてくれるはずだよ!
ケアビット
私も認知症の方の言動を受け止めてあげられるようになりたいな!
衰弱の進行による法則とその対応策
ケアラ
これで最後の法則だよ。認知症の症状が出ると、通常の2~3倍のスピードで老化が進むと言われているんだ。
ケアビット
3倍も…!?今はあんなに元気なのに…。
ケアラ
そう。始めは元気すぎて困ることも多いかもしれないけど、いつまでも続くものではないんだね。そこをわかっていれば、介護で大変な思いをしても気持ちを切り替えられるはずだよ!
まとめ
ケアラ
認知症の症状は、こんな風にちゃんと理解すればうまく対応ができるようになるんだ!
ケアビット
まずはケアラが教えてくれた「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」を覚えるぴょん!
ケアラ
うん、そうすれば認知症の方の対応にも慣れていけるよ!
じゃあここでひとつおさらい。「認知症をよく理解するための大原則」何だったか覚えている?
じゃあここでひとつおさらい。「認知症をよく理解するための大原則」何だったか覚えている?
ケアビット
えっとね、「認知症の人の世界を理解する」だぴょん!
ケアラ
さすが!よく覚えてたね!ケアビット、これからも介護のお仕事頑張ってね!
ケアビット
ありがとう、ケアラ。