「ヒヤリハット」とは重大事故にはいたらなかったものの、場合によっては事故に繋がる恐れのあるちょっとしたミスや、「ヒヤリ」としたこと、「ハッ」としたことを言います。仕事中の事故にはハインリッヒの法則が成り立つと言われており、1件の重大事故の背景には、29件の小さな事故があり、300件ものヒヤリハットが起きているといわれています。こうして数多くのヒヤリハットが積み重なり、重大事故に繋がっているのです。今回は実際に起こった福祉用具にまつわるヒヤリハットの事例から注意点をご紹介します。
目次
ヒヤリハット事例「車椅子」
ヒヤリハット
・移動中に急ブレーキをかけたため、利用者様が前方に倒れそうになった
・ブレーキとタイヤの間に指を入れてしまい、ケガをしそうになった
・移動中にフットレストから足が落ちてしまい、つま先を引きずってしまい、車いすに足を巻き込みそうになった
・歩道を歩行中、傾斜に気づかず流れてしまい、車道に飛び出しそうになった
・坂道に止まる際、車椅子のブレーキロックをかけたが、きちんとロックされておらず動き出しそうになった
注意点
・フットレストへの固定や、手の位置、座る姿勢にも目を配りけがを防ぐ
・急な減速はせず、周りを確認して押す
・車いすのブレーキロックは、かけた後にもう一度確認する
ヒヤリハット事例「介護ベッド」
ヒヤリハット
・ベッドサイドの柵と柵の間に首を挟み、重大事故になりかねなかった
・ベッドの高さを最大にした状態で目を離してしまい、利用者様が落下しそうになった
・酸素チューブが隙間に挟まり、酸素が十分に供給されなくなっていた
・背上げをした際に正しい姿勢で座れていなかったため、食べ物が飲み込めず、つまりそうになってしまった
・ベット用グリップに衣類がひっかかり、転倒しそうになった
注意点
・高さを変えた際は、安全な位置に戻すまで目を離さない
・使用しているベッドが古いタイプのものでないか確認する
・寝る位置を正し、ベッドを起こす際はきちんと座れているか確認する
・キャスタのロックがかかっているか確認する
ヒヤリハット事例「入浴器具」
ヒヤリハット
・シャワーチェアから車椅子へ移動させるときに尻もちをついてしまった
・台車部と固定するためのロックをかけ忘れ、座部が後方へ倒れそうになった
・床が滑りやすく、転倒してしまった
・浴槽から出る際近くにあった入浴用いすにつかまり、本体ごと転倒しそうになった
注意点
・お風呂場は綺麗に掃除し、手すりの設置や滑り止めマットを使用する
・操作手順をきちんと理解し、適切な使用方法を守る
・入浴後の移乗は二人体制で行い、動作がしやすいよう事前に環境を整えておく
・日々身体の衰えなどを観察し、危険なことはしないようにする
ヒヤリハット事例「手すり」
ヒヤリハット
・転倒した際に、近くにあった手すりの隙間に頭を挟んでしまった
・ベッドから転落した際に、横に設置されていた手すりとの間に挟まってしまった
注意点
・手すりの配置個所や手すりを使用する方の状況を見極める
・隙間リスクを避けるため、介護ベッド等を使う
ヒヤリハット事例「ポータブルトイレ」
ヒヤリハット
・立ち上がる際に、ポータブルトイレを支えにしてしまい転倒しそうになった
・蓋を開け忘れているのに気づかず座ってしまい、ケガをしそうになる
・ポータブルトイレの便座が破損し、ケガをしそうになる
注意点
・ポータブルトイレの高さは利用者様に合ったものを使用する
・ネジのゆるみやひび割れ等の破損がないか確認する
・ポータブルトイレまでの通路や周辺は整理する
介護の現場で活躍をする福祉用具たち。しかし、ちょっとしたことが大きな事故に繋がってしまうこともあります。正しく福祉用具を利用し、介護事故やケガを未然に防止しましょう。
今回ご紹介したヒヤリハット事例が、安全で快適な介護サービスの提供に役立つと幸いです。