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あなたは「スピーチロック」を知っていますか?
言葉によって、相手の行動を制限する行為のことです。

近年、多くの介護施設で研修の場が設けられ、スピーチロックに対する現場の意識は高まっています。

スピーチロックには、はっきりとした基準がありません。
介護者の何気ない言葉が、利用者さんの行動を押さえつけてしまう可能性があります。

この記事では、スピーチロックの事例や、介護現場でできる対策を5つご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。

スピーチロックの事例

介護者が手を離せないタイミングに、利用者さんから頼み事をされるケースはよくあります。
その場合に、「ちょっと待っていてください」と声をかけていませんか?

また、付き添いなしの移動が難しい方に対して「転んだら大変だから、1人で歩かないでください」と言う場面もあるでしょう。


  • ちょっと待っていてください
  • 1人で歩かないでください

実は、どちらもスピーチロックにあたります。

介護者は丁寧な声かけをしているつもりでも、利用者さんは行動を禁止されているように受け取ってしまうことがあるのです。

スピーチロックがもたらす影響

スピーチロックは、大きく分けて3つの影響をもたらします。

ADL(日常生活動作)が低下する

スピーチロックは、利用者さんのADL(日常生活動作)を低下させるリスクがあります。

行動を抑えられた場合、利用者さんの心には「話を聞いてもらえなかった」「要望を拒絶された」といった負の感情が生まれます。
負の感情は、行動意欲を少しずつ削ぎ、意思表示を諦めさせる一因となります。

利用者さんは体を動かす機会を徐々に失い、結果として筋力の低下を招きます。
それまで問題のなかった動作が、行いにくくなる可能性もあるでしょう。

何気ない声かけによって、ADLの低下を引き起こす恐れがあるのが、スピーチロックの怖いところです。

認知症の症状悪化の恐れがある

認知症には《物事は忘れても、その瞬間の感情は強く記憶に残る場合がある》という特徴があります。

「介護者から無視された」「強い口調で指示された」など、スピーチロックによって抱いた感情は、せん妄・被害妄想といった精神症状の悪化を引き起こしかねません。

認知症を患っている方は、自分の思いを上手に伝えられないケースがあります。
「用がないならもう行きますね」と終わらせずに、行動の本質をくみ取るよう心がけましょう。
利用者さんに、ストレスを与えない関わり方が大切です。

利用者さんからの信頼を損なう

介護現場では業務が多く、時間に余裕がないことも多いでしょう。
しかし、余裕がないことを理由にスピーチロックを続けてしまうと、利用者さんからの信頼を失ってしまいます。

信頼の損失は、コミュニケーションに悪影響を与え、サービスを円滑に提供できない要因になりかねません。
利用者さんの安心・安全な生活にも影響するでしょう。

一個人として、尊重しながらケアしていくことが重要です。

スピーチロックの対応策

スピーチロック防止のために、介護者ができる対策を3つ解説します。

常に利用者さんの気持ちを考える

利用者さんの立場に立って、コミュニケーションを取ることは、スピーチロックの防止につながります。

「この言葉をかけたら、利用者さんはどんな気持ちになるだろう」と、いつも考えるようにしましょう。
もし、自分が言われたら気持ちが暗くなる言葉であれば、利用者さんも似た感情を抱くはずです。

利用者さんが認知症を患っていたり、意思の疎通が困難であったりする場合でも、ピントを合わせるのは病気ではありません。
その方自身に向き合い、尊重する姿勢が大切です。

スピーチロックへの理解を深める

スピーチロックをなくすためには、施設全体で定期的な研修を実施する等、理解を深める機会が欠かせません。

研修では、スピーチロックの概要から具体的な防止方法まで取りあげましょう。
深めた理解をすぐに現場で生かすことで、手ごたえを感じられるはずです。

一人ひとりの介護者が、問題意識を持って情報共有すれば、提供するサービスの質も着実に高まります。

言い換えて伝える

スピーチロックを防ぐには、言葉の言い換えが非常に有効です。

悪意なく言ってしまうことの多い「ちょっと待って」や「1人で動かないで」も、言い換えることでスピーチロックではなくなります。

ただし、表現を変えても高圧的な態度であれば、制約されている印象を拭いきれません。
声のトーン・口調・表情を、柔らかにすることがポイントです。

「なぜ、そのようにしてほしいのか」という理由も伝えると、利用者さんの安心感につながるでしょう。

言い換えの例


利用者さんに圧迫感を与えず、介護者の要望を伝えるための具体例をご紹介します。


スピーチロックにあたる声かけ 言い換えの例
ちょっと待っていて 今は〇〇をしているので、あと〇分待っていただけますか?
座って 立っていると危険なので、座っていただけますか?
早くして ゆっくりで大丈夫ですよ
動かないでそこにいて 一緒に行くので、あと〇分待っていただけますか?
やめて・ダメでしょ どうされましたか?
家には帰れませんよ 帰れるようになったら言いますね


基本的に敬語を使うことと、命令口調ではなく依頼口調で伝えることを意識しましょう。

まとめ

スピーチロックは、介護の現場で起こりやすいといわれています。
業務の慌ただしさに追われて、つい簡単な声かけで済ませてしまうこともありますよね。

「どんな言葉がスピーチロックにあたるのか」「どう言い換えたら良いのか」を知っておくことが、対策の第一歩となります。

他にも「利用者さんに合わせた声かけ」を知りたい方には、下記の記事もおすすめです!

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