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外国人を介護職員として採用する介護施設が増えています。厚生労働省によると、介護職への外国人の受け入れは平成20年から始まり、平成30年現在で4302人が介護職に従事しています。平成31年4月に創設された在留資格「特定技能」が追加され、これまで以上の外国人が介護施設で働くことが期待されています。

 

人手不足に悩む地方都市や田舎の施設の中には、インドネシアやベトナムなどに直接出向き、現地で募集・面接を行うケースも。「うちの施設では受け入れは絶対ありえない」とたかをくくっていては時代の波に乗り遅れるかもしれません。外国人とのトラブルが発生してからでは遅すぎます。介護職員が外国人と一緒に働く際に気を付けることをまとめました。

最初が肝心!異文化への理解を深めよう

外国人は空気が読めなくて当然

一緒に働く外国人には、日本人同士のように「忖度(そんたく)」「空気を読む」ことを求めないでください。電気の使い方からトイレの利用方法など、当たり前と思われるものであっても、あらかじめ十分な説明をしておくことが必要です。

 

「そのうち覚えるだろう」という甘い考え方も禁物です。「ルールとして規定されていない」「知らなかった」などとお互いに嫌な思いをすることのないようにしましょう。今後、多くの外国人を受け入れる計画がある場合は、写真やイラスト入りで分かりやすい、施設独自の手引書を作成するのも一案です。

理由を述べて根気よく説明しよう

日本人と比較して時間厳守が求められない環境で育ってきた人は、遅刻しても悪びれません。フィリピンでは「フィリピンタイム」という言葉があります。フィリピンならではの時間のルーズさを表現した言葉で、約束の時間に来ないのは当たり前で、1時間以上遅れても平気な顔をしている、などといった情報をネットでご覧になった方もいるかと思います。

 

出社時間はルーズなのに、退社時間になると、そそくさと帰っていく姿に文化の違いを感じることもあるでしょう。頭ごなしに叱ったり、感情的に怒鳴ったりはしないようにしましょう。日本社会のルールについて説明し、根気よく理解を深めることが大切です。

挨拶はコミュニケーションの基本

日本人は「ありがとう」や「おはよう」という挨拶を日常的に行いますが、フィリピン人は親しい相手に頻繁に言うのは、他人行儀で水くさいと考える文化があります。日本人から見ると礼儀に欠けているように見えるかもしれませんが、日本では挨拶はコミュニケーションの基本だということを説明することが必要です。

日本語の使い方に気を付けよう

はっきり、ゆっくり、短く話す

はっきり、ゆっくり、短い文をつないで話すようにしましょう。日本語のあいまいな表現は理解しにくいため、主語・目的語・述語を省略せずに話します。短く簡単な文をつないで話す配慮も必要です。一般的な日本語学習では「~です」「~ます」の丁寧語で学習するため、慣れるまでは文体を丁寧語に統一して話しましょう。

やさしい日本語に置き換える

カタカナ言葉、略語や口語体のくだけた表現を使うと、外国人は戸惑うこともあります。例えば「キャンセル」という表現を「やめる」に、「開始します」を「始めます」に置き換えるなど、外国人にやさしい言葉を使うと理解しやすくなります。「外国人に分かりやすい日本語」マニュアルを作成している行政機関もあるので活用するのもいいでしょう。ただし、介護現場で必要な専門用語は、意味とともにその場で教えていきましょう。よく使う介護用語は約360です。

発音は聞き間違いの元、その場で修正

外国人特有の発音で聞き取れない場合があるかもしれません。そんな時は、ゆっくりと一言ずつ話してもらい、正しい発音を伝えていくようにしましょう。発音や地方特有の方言の問題から利用者との会話が成り立たない場合は、日本人職員がサポートし、コミュニケーションを取れるようにしましょう。外国人が理解できないまま、あいまいに利用者に対して返答をしてしまうと、誤解やトラブルに発展することもあります。

介護現場での仕事の進め方に気を付けましょう

「わかりました」は本当?確認の仕方で気を付けること

東南アジア系の国々の人は、「わからない」と言うことが相手に失礼だと考える価値観があります。日本語が分からず、指示が理解できなくても「わかっている」と答えることがあるため、相手が理解していることを確かめながら明確に話すことが重要です。仕事の指示を受けた後にメモを取ることを勧めたり、業務内容を自分の言葉で繰り返す、など確実に理解できているかを確認しましょう。

人前で注意するのは避けよう

仕事上での失敗を指摘したり、注意する時は絶対に人前では叱らないようにしましょう。利用者様の目の前で注意をすると、侮辱されたと受け取られ、トラブルにつながる恐れがあります。東南アジア系の国々の人の多くは、自分の失敗やミスを他人に知られたくない、と考え、恥をかくことを恐れています。注意する時は必ず1対1で行い、「なぜこれをしなければならないのか」「なぜこの行動がいけないのか」などを、分かりやすく伝えましょう。

宗教への理解を深めよう

受け入れる外国人の出身国はインドネシア、フィリピン、ベトナムなどが多く、宗教は日本人以上に多様で、一緒に働く上で宗教への理解は欠かせません。インドネシアは約9割がイスラム教、フィリピンは約8割がキリスト教(カトリック)、ベトナムは多くの宗教が混在しています。信仰している宗教によっては、食べてはいけないモノがあったり、お祈りの時間が必要になることもあります。

 

イスラム教徒の女性がジルバブ(ヒジャブ)という布で頭を覆い、髪を隠すスカーフを着用して仕事に従事すると、認知症の方が怖がってしまう恐れがあります。お正月の初詣や盆踊りなど、日本人が宗教色を意識しないで行っているイベントは、イスラム教徒などの外国人にとっては他宗教の行事となります。参加を強要せず、日本の生活習慣の理解として見学してもらうなどの配慮が必要です。なじみの薄いイスラム教とヒンドゥー教の基本的な理解を紹介します。

 

イスラム教
・コーラン(ムハンマドが天使ガブリエルを通じて神から受けた啓示)を聖典とし、信仰しなければならない六つの事柄(六信)と、その六信を裏付ける具体的な行為である五行があります。
・禁忌は豚、犬、アルコール飲料等。アルコールが入った調味料を避ける人もいます。
・イスラム教の教えに従った食品をハラール(ハラル)食品といいます。
・1日5回礼拝を行いますが、旅行中は回数を減らす人もいます。
・礼拝前に手・口・鼻・頭・腕・髪・足を水で清め(ウドゥ)、 キブラ(メッカ/マッカの方向)に向かって礼拝する。礼拝は男女別々に行います。 ・家族以外に素肌を見せることを嫌がる者が多い。
・イスラム暦第9月に約 30 日間、夜明けから日の入りまで断食・斎戒をします。ラマダーン、ラマダンともいう。
ヒンドゥー教
・独特の身分制度「カースト」があります。
・牛を神聖なものとみなします。敬虔なヒンドゥー教徒は牛以外の肉もあまり食べません。
・食事の時、相手に料理を手渡す時は、右手を使い、左手を使ってはならないとされています。
・頭は神聖なものだと考えられているため、他人の頭を触ってはいけません。

利用者様・家族への説明をしておきましょう

昨今、外国人がらみの事件が増え、外国人に対する差別や偏見を持っている利用者様やご家族の方がいるかもしれません。利用者様の中には、外国人に慣れていない方もいるため、無用なトラブルを避ける意味でも、十分に説明しておくことが必要です。

ホームシックや心のケア

外国での生活や一人暮らしが初めてという人もいるため、ホームシックなどへの対応に配慮することが大切です。ストレスや困りごとに対する日常の声かけが有効です。業務上の不満や疑問、日常生活でも悩みなどを相談できるよう、担当者は携帯電話の番号やラインを交換しておきましょう。ストレスや心のケアは早めに対応することが重要で、何でも相談することができる信頼関係を築くことが大切です。

ワンチームで働くためにできること

外国人と一緒に働くことは当初戸惑いの連続かもしれません。外国人を受け入れた施設からは、気付かなかった問題点を発見できた、職場環境を見直すきっかけになった、利用者のちょっとした変化を見つけて褒めるため、日本人職員も真似するようになり、職場が明るくなった、という声も聞かれます。介護現場では利用者のケアをチームで行います。ワンチームとして円滑な業務を遂行するためにも、外国人との相互理解を深めましょう。

 

<執筆者のプロフィール>
名前:深井紀美子
プロフィール: 獨協大学外国語学部、金沢大学法学部卒業。北國・富山新聞社で記者として約10年間勤務した後、司法試験受験生、専門学校・職業訓練校講師、プロ家庭教師として働く。3年前からフリーランスのライターとして活動を再開。教育や医療福祉、仮想通貨、株投資など多方面で執筆中。趣味は水泳、猫と遊ぶこと。
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