障がいを持っているから思うように外出できない…
厚生労働省によると、身体障がい者の約9割が外出を行えていることが分かりました。一方で外出する上で困ることがある人は全体の41%にも上り、障がい者にはイキイキとしてもらえる外出をしたいものの、困難や負担を感じている人が多いようです。
肢体不自由な方は「乗り物の利用が不便」「建物の設備が不備」、内部障がいでは「乗り物の利用が不便」の割合が高くなっています。「行動援護従事者養成研修」はこの内部障がいっと呼ばれる知的障がいもしくは精神障障がいによって介護を要する方にサービス提供を行うための資格です。
比較的取得に時間がかからず負担も少ないことから、プラスαとしての資格におすすめです。本コラムは「行動援護従業者」についてご紹介致します。
目次
行動援護従業者とは?
知的・精神障がい者をサポート
知的障がい、精神障がいによって移動や行動が非常に困難な方に必要な援護・介護をする業務を行います。
残念ながら現在知的・精神障がい者に対する理解が少なく、さらに障がいが重くなればなるほど介護方法が複雑になることから行動援護従業者は不足している状況で、人材を求める声が各所からあがっています。
業務は大きく分けて7つ
行動援護従業者は文字通り「行動援護」が主な業務ですが、それを詳しく解説すると以下の7点に分類できます。
2.問題行動のきっかけが明確である場合には、その引き金となる対象が障がい者の目に入らないように工夫す る。このように問題行動を起こす条件などを把握して、その予防を行うこと。
3.障がい者が問題行動を起こしてしまった場合、本人とその周りの人の安全を確保し、混乱を収めること。
4.危険を認識できず道を飛び出してしまうなどの不適行動や自傷行為を防ぐこと。
5.障がいによって、突然動きを止めた場合や特定のものに強いこだわりを持つなど極端な行動を起こした際に落ち着いて対応すること。
6.排泄の認識ができない障がい者に対する介助や後始末。
7.外出中の食事介助をはじめとした介護。
活躍の場が幅広い
行動援護従業者は内部的障がい者の介助が行えるという点において、幅広い介護施設で活躍できます。
資格を取得すると地域生活支援の仕組みや制度を理解して利用者個々にフィットした支援サービスの能力を身にけることができます。
移動支援を行っている訪問介護、介護施設などの事業所はもちろん、知的障がい者、精神障がい者に関わる福祉施設(身体障がい者更生施設、身体がい害者授産施設、身体がい害者療護施設など)では、特に需要が高いです。
行動援護従業者になるには
行動援護従業者になるための要件
「行動援護従業者養成研修」の修了者であり、かつ知的障害者・知的障害児又は精神障害者の直接支援業務(入浴、排泄、食事等の介護、調理及び洗濯等の家事)に1年(180 日以上)の従事経験を有するとされています。
ただし、以下の要件を満たす人であれば、「行動援護従業者養成研修」の資格がなくても行動援護従業者になれる可能性があります。(平成 33 年(2021 年)3月 31 日までの経過措置)
その要件とは、「居宅介護従業者」の要件を満たし、かつ知的障害者・知的障害児又は 精神障害者の直接支援業務に2年(360 日以上)の従事経験を有するものです。
※居宅介護従業者の要件
介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修修了者、居宅介護従業者養成研修1 級又は2級課程修了者、居宅介護職員初任者研修修了者であって3年以上の介護等の経験 を有する者、看護師、准看護師以上の要件を満たせない人は一番初めに明記したように、行動援護従事者として業務を行うには行動援護従業者養成研修を受講する必要があります。
行動援護従業者養成研修の内容
行動援護従業者研修では、行動障害に関する知識・支援のための介護スキルを習得します。研修は講義(10時間)と演習(14時間)とに分けられます。
研修期間は3~4日程度で、未資格・未経験者でも受講可能です。
厚生労働省の配置要件対象に!
研修を修了すると知的障がい、精神障がいを持つ方々の行動援護サービスを提供する訪問介護事業所、障がい者支援施設において勤務できます。
さらに、厚生労働省が推進している「行動援護特定事業所加算」の配置要件の対象となる資格ですので、就職・転職活動の際に大変有利になります。
研修受講が必須に
行動援護従業者になりたい場合、平成30年からは今回ご紹介している行動援護従業者養成研修の受講が必須になります。必須化する前に受講すると大変有効でしょう。