福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障害を持っている方が、できるだけ自立して生活できる住環境を提案するアドバイザーです。ここでは、介護現場で働いている私がなぜ福祉住環境コーディネーターを取得したのか、また独学でどのように学習したのかをご紹介します。
福祉住環境コーディネーターの資格取得を考えた理由
まだ私の祖母が元気だった頃、実家の敷居に躓いて転んでしまったことがありました。それまでは転ぶことは無かったのですが、歳のせいか躓きやすくなっていたのです。その当時の私は特に気にかけず、「ばあちゃんは歳だからな~」としか考えていませんでした。
しかし、私自身が福祉の道を志すようになってからは、「歳をとってからも住み慣れた自宅で生活し続けるためには、まず自宅が安全な場所でなければいけない」と思うようになったのです。
そこで私が注目したのが、”バリアフリー”です。
私は大学3年・4年で住宅改修のゼミに入り、ケガをして歩きにくくなったり、病気で車いす生活になったりした高齢者の方にとって、住みやすくするための住宅改修について学びました。
その中で出会った資格が、福祉住環境コーディネーターでした。
どのような住宅改修を行えばその人にとって住みやすい家になるのか、手摺りを一つ付ける際も、どの高さでどのような形でつけるのか等、一人一人に合った方法を学びたいと感じ取得を決めました。
福祉住環境コーディネーターの取得方法
福祉住環境コーディネーターの資格を取得するための講座もあったのですが、当時の私は社会福祉士の試験勉強もしなくてはならず、講座に通う時間がありませんでした。
そのため、福祉住環境コーディネーターの資格取得テキストを書店で購入し、独学で勉強をはじめました。
毎日10ページ分勉強すると決めて、毎日テキストを読みながらノートに書き写すという勉強方法を繰り返しました。
赤シートで答えが隠れる一問一答の問題集も加えて購入し、テキストと併せて勉強を進めていきました。
まずは比較的取得がしやすい3級から受験し、近場の試験場で受けました。3級に合格した後はそのまま2級のテキストを購入し、同じ勉強方法で2級にも合格しました。
独学ではありましたが、ただ単に手摺りを付けたり段差を無くしたりするのではなく、その人の身長や車いすの高さに合った住宅改修をすることや、小道具を使用することでも随分生活がしやすくなること等を学びました。
建築に関する用語も少しずつ覚えていく必要がありましたが、自分が興味を持てる内容なのでスムーズに頭に入ってきたことを覚えています。
独学という取得方法では、いかに集中力を保って勉強できるかという点が重要になると思います。
ですが、興味があって勉強したいという気持ちがあれば自然と集中できますし、もっと知りたいという気持ちから自然と書店に足が向くと思います。
赤シート付の一問一答の問題集は小さめのものを購入し、常に持ち歩くようにしていると、隙間時間で勉強できますのでオススメです。
福祉住環境コーディネーターを取得後の変化
福祉住環境コーディネーターを取得してからは、就職活動の際に履歴書に記載することができたため、多少有利に働いたと感じています。
実際に就職した後、勉強会等にも参加させて頂き、先輩介護士であり介護福祉士の方のお話を聞きましたが、その中で次のような機会にも恵まれました。
とある入居者様のトイレに手摺りが必要になった際には、どのくらいの高さにどのような手摺りが必要かという話に混じらせて頂くことができたのです。
また、施設内はバリアフリーとは言っても、一人一人に合った手摺りが取り付けられている訳ではありません。そのため、人によっては握りにくく力が入りにくい手摺りも存在します。
そのような手摺りを、施設内にあるもので握りやすくしたりというお手伝いをさせて頂くことができたため、現場でも役立ちました。
福祉住環境コーディネーターの資格は、主に住宅の営業や福祉用具の販売員の方に勧められる資格ですが、介護職員が取得していることで、ご家族様やご本人様に対して役立てられることもあります。
自分の知識を深めて、より利用者様や入居者様に適した介護サービスを提供することができる介護士になるという意味でも、取得して良かったと思える資格の一つです。