グループホームのケアマネが認知症介護実践者研修を受講して感じたメリットとは

認知症介護実践者研修とは

認知症介護実践者研修は、各都道府県が主催する、認知症に特化した専門的な研修のうちの一つです。
研修体系としては、まずは初心者向けの「認知症介護基礎研修」があり、その次の段階としてあるのがこの「認知症介護実践者研修」、その先にさらに「認知症介護実践者リーダー研修」「認知症介護指導者研修」があります。

私の場合は、この認知症介護実践者研修が、グループホームのケアマネジャー(計画作成担当者)として勤務するにあたって必要だったので、勤務後半年ほどしてから受講しました。
グループホームは5~9人程度のユニットごとに生活していますが、1ユニットに1人、この研修を受講した計画作成担当者を配置することとされています。
この研修は受講を希望してもすぐに受講できるものではなく、私自身申し込んでから半年程待ちました。しかし非常に勉強になった研修だったので、本当に受講して良かったと思っています。

今回は、そんな認知症介護実践者研修について、私の経験を踏まえながらご説明させていただきます。

認知症介護実践者研修の目的・対象・期間

目的は、各都道府県や実施団体によってうたい文句は様々ですが、共通しているのは「認知症に特化した実践的な研修を実施し、認知症介護技術の向上を図って、認知症の専門職員を養成」、「認知症介護者やその家族の生活の質を向上させ、介護サービスの充実をはかること」です。
要するに、認知症への理解を深めた職員の育成と、さらなるサービスの向上が目的とされています。

対象者は、基本的なところでは「介護保険施設、介護事業所において介護業務に従事している介護職員等で、介護に関する基本的知識、技術を習得し、かつ2年以上の介護現場経験があるもの」とされていますが、このほかの部分は各実施団体において若干の違いがあります。

例えば、とある地域の募集では、介護現場経験は「認知症介護経験」とされており、文面の最後には「全日程への参加及び自分の職場で4週間程度(日常業務をしながら自分が設定する課題に取り組む)ができ、自分自身を変え、職場を変える熱意がある人」、と記載があります。

また、他の団体では、最後に「自施設(事業所)を利用されている認知症の人に実習協力者として協力して頂き、2名分の自施設実習契約書・承諾書が準備されている者、とあります。

実はこの研修は職場実習という、一番大切で大変な実習が最後にあります。それを確実に行うことができる者だけがこの研修を受講できるのです。期間は、1ヵ月半程度で、7~8回の講義・演習と、4週間の自施設実習があります。

私自身色々な研修の経験がありますが、この講義の頻度はなかなか高く、働きながら受講するにはやや大変でした。
実習のこともありますし、勤務先の施設での協力体制がないと受けることができない研修だと思います。

取得方法

講義・演習に関しては、確実に参加して話を聞く、これは大前提です。ただ、非常にグループワークの多い研修でした。そして、受講している方は皆どこかの施設・事業所で認知症の方に携わっていて、それなりに経験のあるプロの人々。他の施設の色々な事例を聞くことができ、とても興味深かったことを覚えています。

私はそれまでにヘルパー2級や介護福祉士を取得していましたし、ケアマネジャーの資格もあったのでそこでも認知症の勉強はもちろんしていました。
しかしこの研修はもっと深くて、私のような介護業界の経験が長い人間でも目の覚めるような話がいくつかありました。

その中で特に印象に残っているのは、認知症の方の立場からの思いをつづった映像です。「どうしてこうなってしまったんだろう」「認知症になっても私は私でいたい」といった内容の映像だったのですが、本人目線の切実な思いが切々と語られていて、「ああ、こういうことが辛いんだな」と胸を打たれたことを覚えています。

そして、一番大変だったのが、最後の施設実習です。
具体的には、認知症の利用者様に対して、こういったアプローチを考えました、そしてそのアプローチを4週間続けた結果こうなりましたという内容の実習です。

最後にはパワーポイントにまとめて皆の前で発表します。
私の場合は、2人の問題行動のある認知症入居者について実習を行いました。
これを行うためには、施設の職員全員に協力してもらわなくてはならず、最後のまとめの作業もとても大変でしたが、非常に良い勉強になりました。
何よりも、発表で他の受講者のケースを学ぶことができて、「こんな方法もあるんだな、こうしたらよかったかな」と学ぶことが沢山ありました。

取得後

「この研修は大変だけど、すごく勉強になるよ」と先に受講した皆から聞いていたのですが、本当にその通りでした。
今まで見ていた視点とは違う角度から認知症について知ることができ、とても良かったです。

ここで学んだことは、すべての認知症の行動には意味があるということ。問題行動としてとらえるのではなく、その奥底にある理由を探ることが大切だと学ぶことができました。
その後私はグループホームを退職したので、実践者研修以上の研修を受講することはありませんでしたが、また何かの機会があればぜひリーダー研修や指導者養成研修も受けてみたいと思っています。

現在、私は居宅のケアマネジャーをしていますが、この認知症介護実践者研修が役立っていて、認知症の症状を見るのではなく、利用者様の本当の思いを汲み取る努力をしようと思っています。

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