介護業界トラブル別解決事例~面会謝絶のトラブル~

介護業界で勤務している方であれば、これまでに体験したことのないような難しいケースに遭遇し戸惑いを感じた経験があるのではないでしょうか。ここでは、私が施設で勤務していた時に遭遇したトラブルとその解決方法についてご紹介していきます。

 

私が施設で生活相談員をしていた頃、女性資産家のCさんが入居されました。Cさんにはお子さんや夫はおらず、身元引受人は甥のDさんがなっていました。数年後Cさんが危篤状態になった際に、今まで面会に来られていなかった姪のEさんが面会に来るようになりました。

 

Dさんはそれに気づいて、「Eが来ても面会させないようにしてほしい」と施設側に依頼をしました。後日Eさんが面会に来られましたが、施設の職員は身元引受人のDさんの意向通り「Dさんから依頼があったので、面会は出来ません」とお断りをしました。
するとEさんからは「私は家族でCに会う権利がある。施設は、どんな権限があって私の面会を拒否しているのか」と言われてしまいました。Dさんに事情を話すと「相続のことで揉めているので、Eは余計なことをCに話すので会わせたくない」とのことでした。

 

それから施設内でCさんへの面会について議論をしたり、顧問弁護士に話を聞いたり、施設が面会謝絶を出来る権限についても調べました。

その結果、施設はあくまでも第三者で「Eさんの会う権利を阻害できないため、Dさんの意向を聞く義務はない」という結論に至りました。また、Cさん本人が会うことを拒否するなら面会を拒否出来るということも知りました。

Cさんは危篤状態のため意思確認が出来ず、結局施設としてはEさんが来ても面会謝絶をしない方向で進めました。Dさんからはクレームを受けましたが、施設の立場上どちらにも肩入れは出来ないと伝えてなんとか納得してもらいました。

 

身元引受人から依頼があったからといって安易にその要望を受け入れてしまいますと、思わぬところでトラブルに巻き込まれる可能性があります。このケースでは各人にきちんと権利があり、それを施設として阻害することはできないということを学びました。

介護施設で働いていますと、予期しない様々なケースがあります。介護の事であれば、施設内で完結をする事が出来ますが、介護以外のケースの場合は法律などをきちんと理解した専門家に相談をする事をお勧めします。今回は弁護士に依頼をしましたが、やはり法律的な部分は弁護士に確認をすることが大切だと実感しました。何か困ったことがあれば、あやふやなままその場で結論を出さずに、時間をかけてでも関係機関に確認をとり、正しく対応することが必要なのです。

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