看護助手は病院で、患者の身の回りのお世話や看護師のサポートを行います。医療に携わる仕事がしたい方には、資格や経験が無くても働くことのできる看護助手の仕事は魅力的な職業です。
ただし、やりがいもある分、体力や精神的にも大変な看護助手のお仕事。そこで今回は、総合病院と産婦人科クリニックにて看護助手として約8年勤務した私が、よくある悩みと解決方法についてご紹介していきます。
目次
看護助手の業務面
業務が忙しい
看護助手の仕事は病院によって業務の内容は様々です。大学病院や総合病院、クリニックや診療所など種類があり、病棟業務もあれば外来での診察介助などもあります。病棟業務では、食事や排泄、入浴や移動介助などの身体介助、シーツ交換などベットメイクや病室の環境整備、医療器具の消毒や滅菌作業、汚染物の処理や掃除等がありあます。クリニックや診療所では、医師の診察介助や受付でのカルテ処理や病院内の案内や移動、検査時の医療器具の準備や、物品の補充、発注など、様々な業務があり、上げればきりがありません。その他にも看護師のサポートもあると思います。
体力も必要ですし、細かな業務も多くありますので、周りに気を配り、時間配分も考え業務を行っていかなくては、時間内に仕事を終わらすことができません。
解決方法
自分一人で抱え込まず、できない時には早めに周りに声をかけましょう。ギリギリまで自分で頑張っても、結局できないと周りに迷惑をかけてしまいます。早めに声をかければ、余裕をもって業務を行うことができ効率が良くなりますし、無駄な残業をしなくて済むようにもなります。
普段から自分の力量を把握しておき、与えられた仕事をどの程度でこなすことができるかを考えておく必要があります。また、自分の余裕がある時には、周りのサポートを積極的にしましょう。そうすることで自分が大変な時には、サポートをしてもらい易くなります。
神経を使うため疲れる
病院には様々な病気を抱えていたり、体調が悪く苦しんでいたり、精神的にも落ち込み気がふさいでいる人が大勢います。普段とは違う状況で生活をしている人の介助をするということは、とても大変なことです。心無いことを言われたり、介助を拒否されたりということもあるかもしれません。
スタッフ間でも、医師や看護師など職種の違いで働きにくさを感じることもあります。面倒な仕事を押し付けられたり、上から目線で話をされたりということもあるのではないでしょうか。
解決方法
直接人に触れる、命を預かる場所で働くということは緊張感やストレスもあることでしょう。自分の精神状態を安定させることも自己管理になります。ストレス解消法をみつけることも仕事ではないでしょうか。
もう一つは看護助手として、自分は自分の仕事を行うことです。看護助手としての業務以外のことを依頼された場合は上司に確認をします。勝手に引き受けたことが後で問題になることもありますし、面倒な事ならばなおのこと、上司に相談をして指示を仰ぐことが必要です。直接仕事を押し付けられたり、嫌な言い方をされた時などは上司に報告をすることが問題解決に繋がります。
普段から上司とのコミュニケーションを取り、相談できる環境を作っておくことが大事です。
夜勤が多い
病棟での勤務になると夜勤も業務内容に含まれることも多いのではないでしょうか。平均的には月に4回くらい、それ以上の回数を行わなければいけない職場もあります。人手不足や突然の体調不良者の代わりなど理由は様々だと思います。夜勤業務の大変なところは、勤務時間が長い、人員体制が少ないため仕事の負担が大きい、緊急時の対応への不安などでしょう。体力も必要ですし、夜の仕事への慣れや生活リズムを掴むことも大変です。
解決方法
転職する際にはあらかじめ夜勤の回数や勤務体制、仕事内容をしっかり確認しておくことが大事です。実際に仕事を始めていくうちに、人手不足などの理由で夜勤の回数を増やしてほしいと依頼されることもあるかもしれません。一月でどのくらいの回数夜勤が可能なのかを把握しておき、出来る時は対応する、無理な時ははっきり断ることが大事です。断ったら何を言われるか、大変だろうしなど考えて、無理して引き受けてしまい、それでなくても夜勤は体力が必要にもなり、自分が体調を崩してしまっては元もこもなくなります。断ることも自己管理の一つです。無理して引き受けることはありませんが、自分ができる時は夜勤を行うことで、自分が体調を崩した時など交代してもらい易くもなるでしょう。
職場にもよりますが、夜勤をすることで休みが増え、自分の時間が取れることもあります。また、夜勤手当が付くので給与が増えます。日勤業務だとスタッフも多いので、人との関りが面倒ということもあります。夜勤は人が少ない分、仕事は大変になりますが、面倒な人間関係がなく、自分のペースで仕事を行うことができるので煩わしさがないと、夜勤を好む人も多くいます。
自分のベストな働き方をしっかり考え、職場の体制も考慮して選んでいくことが必要です。
看護助手の人間関係面
同僚に対しての人間関係
病院という場所は、女性が多く活躍をしている職場です。近年は男性看護師も増えてきていますが、それでもまだ女性の方が圧倒的に多いでしょう。女性の職場というとマイナスのイメージ捉えられることも多いですが、人間関係の問題は女性が多い少ないに関係なくどこにでもあります。人間なので気が合う人、合わない人などいることは仕方のないことです。特に女性はおしゃべり好きな傾向にあるので、噂話やよくない話をする人や、気が合わない人への嫌がらせなど、自分が標的にされることもあるかもしれません。
解決方法
まず女性だからとか、相手に対して先入観をもたないことが大事です。会話をしていて、話が合わない、価値観が違うと感じることもあります。人は人、自分は自分で違うということを認識することです。気の合わない人と無理して付き合うことは苦痛です。
しかし、自分が仕事をやりやすくするために、人間関係を円滑にすることはとても大切です。
そのためにはコミュニケーションを取ることが大事で、一番の方法は笑顔で挨拶をすることです。そんな簡単なことかと思いますが、これがコミュニケーションの基本です。苦手だと思う相手から笑顔で挨拶をされたらどうでしょう。嬉しくなり気分が良くなりますよね。自分がされて嬉しいことを自分からしてみることは、特に苦手意識のある相手に対してだと、とても勇気のいることかもしれません。勇気を出して自分から行動を起こすことが、とても大事なことです。
自分が行動したことで自信を持ち自己肯定感が上がり気分が良くなり、相手も嬉しい気持ちになる一石二鳥です。
看護師に対しての人間関係
病院の中では医者が上にいて、看護師、看護助手と上限関係捉える人が中にはいるかもしれません。それぞれ資格や職種が違います。看護師のサポートをすることもありますが、看護助手としての業務があります。
しかし看護助手は医療行為ができませんので、看護師に依頼をしなければいけない場面も出てきます。この時に忙しいから等の理由で断られたり、一人では無理な介助を看護師に依頼しづらいなどのことが出てくることもあります。最終的に一番迷惑をするのは患者様です。
解決方法
ここでもコミュニケーションが大切です。仕事をするということは、多かれ少なかれ人と関わり業務を行います。コミュニケーションは自分の仕事をやりやすくするためだと考えていきましょう。
看護師との連携や情報共有は患者様の命を預かるうえでとても重要なことです。看護師からの医療情報や介助するうえでの注意点などを聞き情報を得る、何か変化があればすぐに報告をすることで信頼関係を築くことができます。サポートできることがあれば自分から協力をしていくことで、自分が大変な時には協力してくれることも増えていきます。
まずは自分から行動することで、状況はいくらでも改善することができます。
患者に対しての人間関係
患者様は様々な病気を抱えています。軽い人もいれば、治らない病気の人もいるでしょう。病気を受け入れられない人も多く、誰かに話を聞いてほしい、時には自分のどうにもならない思いをぶつけてくる人もいるかもしれません。医師や看護師には言いにくいことを看護助手に話すということは多くあるのではないでしょうか。看護師はいつも忙しそうでこわくて話しかけにくいと感じる人も少なくありません。医師よりも看護師、看護師よりも看護助手を身近に感じる傾向もあり、良いことも悪いことも言われやすいかもしれません。
解決方法
患者様とコミュニケーションを取ることはとても大事なことです。しかし入り込みすぎると仕事に支障をきたします。特に重い病気の人と関わり深く話を聞いてしまうと、自分もその気持ちに引きずられやすくなります。相手の気持ちに共感し自分のことのように感じることは大事なことですが、あくまで自分を見失わないようにすることです。
相手は相手、自分は自分と割り切ることが必要です。
看護助手は人と直接接することが多い仕事なので大変なことも多くありますが、感謝されることもあり、とてもやりがいのある仕事です。
環境や人間関係、業務内容など職場によって様々ですし、看護助手としての職場はたくさんあります。
昔は一つの職場に腰を据えて長く働くということがよしとされていたこともありますが、現在では幾つかの職場で働いていることを、経験として捉える職場も多くあります。
自分が働きやすい環境を見つけることや、キャリアアップするために転職することは、とても大事なことではないでしょうか。
名前:きむち
プロフィール:接客業の経験から介護の仕事に興味を持ち、ヘルパー2級の資格を取得。総合病院と産婦人科クリニックにて看護助手として約8年経験。本格的に介護業界で働き資格を取りたいと思い、透析専門病院で看護助手をしながら介護福祉士を取得して、その後介護支援専門員を取得。その後、居宅ケアマネジャーとして約4年経験。