介護職員が押さえておくべき歩行介助の基本とケース別の歩行介助方法

足腰の弱った高齢者の介護を行う場合に切っても切り離せないのが「歩行介助」です。歩行介助は誤まった方法で行えば、足腰の状態をさらに悪化させてしまったり、大きな怪我を負わせてしまう可能性もあります。しかし、歩かせ方のポイントをしっかり守った上で高齢者個々に合ったサポートをすることによって、安全に楽に歩かせることが出来るようになるのです。

そこで今回は、足腰に不安のある高齢者の歩行介助における工夫や注意点について紹介していきます。

歩行介助とは

歩行介助とは自分の力だけでの歩行に困難がある高齢者の方が、車椅子を使えない場所で移動する際に歩行をサポートすることを指します。特に在宅介護においてはほんの小さな不注意によって転倒してしまう危険性が高く、歩行介助は欠かせません。また個人の病状によって介助方法のニーズは異なるため、介助される方の現状を把握しておくことも忘れないようにしましょう。

歩行介助のポイント

歩調・歩幅を合わせる

介助する際には、介助される方の歩調と歩幅に合わせる事を心がけるようにしましょう。介助者が歩行をリードするという意識ではなく、あくまで相手のペースに合わせるという意識を持つようにしましょう。そのために介護される方の歩き方に目を向け、その特徴をしっかりと把握することが重要になります。

例えば、前後左右どの方向に転倒する可能性が最も高いのか、また膝が折れるように転倒する可能性はあるのかなどといったことに注意を払う必要があります。

歩行介助は、相手の立場に立って寄り添って行うことが大切なのです。

履物、ズボンは適切なものを

介助を受ける方にとって、ズボンや履物は歩行の障害となるかもしれません。歩く際に足にまとわりついてしまいそうな長さやデザインのズボンは避けましょう。履物に関しては、簡単に脱げたり滑ったりしてしまうスリッパやサンダルは危険です。履物やズボンは、着替えさせやすいことから本人より大きなサイズを選びがちですが、万が一脱げてしまうと転倒する可能性がありますので、適切なサイズ選びが重要です。

随時休憩を取る

介護者側の負担は大きいですから、目的地までなるべく早くお連れしたいという思いがあるのは当然でしょう。しかしそもそも歩行に困難がある高齢者にとって、無理は禁物です。介護者のペースに合わせて予測不能の事故になってしまっては、介助の意味がありません。万が一、転倒して骨折してしまった場合、高齢者は治癒スピードが遅いので、部位によっては以前のように歩けなくなってしまう可能性もあります。たとえ介護者にとっては短い距離であっても、一定距離で休憩を挟むことを常に意識しましょう。

歩行介助における注意点

歩行介助において、出来る限り障害となるものは先にどけておくことが必要です。高齢者は、移動をする際にコードや敷居など些細なものにつまずいて大怪我を負ってしまう可能性があります。これらの障害物は日ごろから片付けて、できる限りスペースを広くとることを心がけましょう。

また、手すりなどなにかつかまるものがある場合には、そちら側とは反対側に立って補助するようにしましょう。

ケース別の歩行介助方法

階段における歩行介助

階段を上り下りする際の歩行には特にっ危険が伴うため、特に慎重な歩行介助が必要になります。杖を利用している方の場合、階段を上る際には杖→健足→患足の順番で動かしてもらいましょう。また降りる際には、杖→患足→健足の順番で動かしてもらいましょう。その際には、安全の為に常に健足に重心をかけて移動することを意識するように伝えましょう。

また、杖を使わない方の場合には手すりを必ずつかむよう指示しましょう。介護者は階段を上るときには介護する方の斜め後ろに立ち、降りる時には斜め前に立ってください。こうすることで、転びそうになった時に即座に支えてあげることができます。

麻痺がある場合の歩行介助

脳卒中の後遺症などで手や足に麻痺が残り思うように手足を動かすことのできない方の多くは、杖を用いた歩行介助を必要とします。自分で杖をつける方もいれば、杖を持つ事すらも困難な方もいますが、麻痺があって思うように杖が持てない場合の歩行介助はどのように行えばよいのでしょうか。

杖は麻痺のしていない健康で痛みのない側に持たせます。筋力の低下がみられたり、足が痛む場合にも、比較的病状がない手で杖を持ってもらいましょう。そして介助者は杖を持っていない、症状のある側の斜め後方からふらついたり転びそうになった場合に支えてあげられるようにしましょう。

杖のとき歩行介助

歩行困難な高齢者のほとんどが歩行器や杖といった補助器具を使用しています。これらの補助器具のメンテナンスが不十分だと転倒に繋がる恐れがあるのをご存知でしょうか?滑り止めのゴムが磨耗した状態で杖を長い間使えば、滑りやすい場所での歩行を支えきれません。歩行器のタイヤにホコリが詰まっていたり、持ち手になるフレームにゆがみがあったりすると、歩行を完全に支えられる器具とはいえません。

まとめ

歩行介助はなによりも相手のペースに合わせて行うことが大切です。これらの工夫や注意点を意識して、上手に歩行介助を行ってみてください。

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