ご自宅中心に生活する要介護者の方を、施設にお迎えして一定時間過ごしていただくデイサービス。通常は夜勤もないため、主婦の方やパートでも働きやすい環境にあります。
介助量が少なく体力的に楽な部分もありますが、多様なレクリエーションを毎日提供するなどデイ特有の業務も多く、現場になじめないで悩んでいる職員も多いと思います。今回はそんなデイサービス職員が抱えるお悩みについて、解決策を考えていきましょう。
レクが苦手でうまく回せない
デイサービスと言えばレクリエーション、略して「レク」です。朝の挨拶に始まり、体操やゲーム、脳トレ系のプログラムとその種類は多岐にわたります。デイで働き始めた時に一番驚くのが、先輩たちの「レク」の回し方。
利用者を飽きさせずにプログラムを進行する芸人のような姿に、「私には無理!」と無力感を感じた方も多いはず。でも、誰だって最初からうまく出来たわけじゃありません。大事なのは毎日積み重ねていく、ちょっとした工夫。
マンネリを恐れない
まずは先輩のやり方をよく見てみましょう。体操のレパートリー、ゲームの合間にはさむ気の利いたセリフ、日替わりで用意する豊富な話題。でも、毎日見ている内に気がつきませんか?先輩たちも結構同じことを繰り返しやったり、言ったりしてますよね?
「レク」を提供する高齢者の皆さんはおおむね心が広く、若者より寛大です。そのうえ日替わりで利用者が変わることも多いので、少しくらい同じことをしゃべってもだれも気にしません。マンネリくらいでちょうどいいのです。
自分の形を作る
先輩のやり方を参考に、次は自分の形を作ります。たとえば、
・体操は、上半身の運動と下半身の運動を混ぜて10種類の定番を決めてしまう。
・朝の挨拶は記念日辞典などを活用し、「今日は何の日?」のネタで押し通す。
最初は何も気にせずやり続けましょう。利用者に受けなくとも、先輩に馬鹿にされても、自分は自分です。下手なのも個性ですから、それが魅力になることも多々あります。
そうやって同じことを繰り返すと、自分でも飽きてきますよね。そうなったらしめたもの。少しずつ内容を変えていきましょう。利用者の反応も経験した今なら、最初の段階より工夫のしどころもわかってきているはず。10のマンネリに1の新しい工夫。これがデイサービスの「レク」を無理なく回すコツです。
人間関係が難しい
デイサービスに限らず、どんな職場でも最大の悩みの種は人間関係です。特に女性の多いデイサービスでは、日々職場の中に、ある種の緊張感が漂います。
人間関係を良好に保つために大切な二つのポイントをご紹介しましょう。
・悪口を言わない。
・いい面を評価する。
拍子抜けするほど単純ですが、デイサービスにおいても人間関係を悪化させないコツはこの二つです。まず悪口ですが、仕事のやり方や、他人との接し方が自分と全く違う人がいると、つい批判的な意見を口にしてしまいます。しかし、そういった発言は必ず相手に伝わりますし、他に同調する人がいたら、弱い者いじめに発展する恐れもあります。
職場においては、できるだけ相手の悪い面ではなく、いい面を見るように心がけましょう。相手の出来ること、優れていることを口に出して評価し、自分でも取り入れていきましょう。ほめられて悪い気がする人はいませんし、いい面を観察することで自分も成長します。
時には業務改善のために反対意見を述べる必要も出てくるでしょう。信頼関係を得ていれば、そんな意見でも案外素直に聞いてくれるかもしれません。まちがっても業務外の飲み会などで、その場にいない職員の悪口を言うことのないよう、注意してください。
男性職員の存在理由
デイサービスは女性中心の職場ですが、もちろん男性職員も存在しています。強い女性の中で肩身の狭い思いをしているという声をよく耳にします。
男性職員がデイサービスでうまく働くためには、女性よりもバランスを考えて行動してください。特定の職員とばかり親しくすると、いらぬ誤解や嫉妬を招きます。
利用者も女性が多く、同性介助などのきまりがある施設では活躍の場所も限られますので、
「なまけている」とレッテルをはられないよう、業務範囲を確認しましょう。
男性職員が積極的にやりたい業務としては、
・送迎業務
・行事の立案や、実施の際の力仕事
・体操、ゲームなど体を使ったレク
などがありますが、最も大事なのは男性利用者へのケアです。
同じ少数派として同性の存在は貴重です。女性に比べ、環境に慣れるのに時間がかかる男性は、帰宅欲求も強い傾向が見られます。そんな時話し相手になったり、碁や将棋の相手をしたりと、男同士でできることがたくさんあるはず。
数は少なくとも男性職員の存在は貴重です。出来ることを精一杯やって堂々と働きましょう。給料が少ないなど、他にも様々な悩みがあるデイサービスの仕事。しかし、デイサービスのおかげで介護負担が軽減される家族にとって、それは必要不可欠な存在です。
本来自宅にいるのが自然な利用者を、限られた時間とはいえ一つの場所に止めておくには多大なエネルギーを使います。出来るだけ長続きするように、悩みすぎず、出来ることから頑張っていきましょう。