介護の現場では24時間体制で利用者様の安全を見守る必要があるため、介護職員には夜勤があります。
その中で、2交替勤務や3交代勤務というシステムが採用されています。今回はそんな交替勤務のシステムについて、日本医療労働組合連合会が発行した「2018年介護施設夜勤実態調査結果」を紐解きつつ、夜勤協定についてご紹介します。
介護職員の夜勤日数の法律はあるの?
実際の所、介護職員の夜勤日数を厳格に設定している法律は存在しません。そのため、介護職員の夜勤日数は施設によって3交代や2交代を導入しているほか、変則的な交代制度を導入しているところもあります。
とはいえ、夜勤日数の大まかな目安を把握しておきたいですよね。介護施設夜勤の実態調査結果をもとに、それぞれの違いを見ていきましょう。
3交代夜勤の場合
3交代夜勤の施設では、一カ月の夜勤日数を6日以下に抑えているスタッフが5割を越えています。基本的に3交代夜勤で最多の日数は6日前後となっているようです。しかし、介護老人保健施設に限っては、1割の介護職員が9日以上の夜勤を行っている現状が見受けられます。
介護老人保健の6施設、介護職員153名を対象にした調査では、1月の間に行う夜勤回数は「8日(58人回答)」が最多となっているほか、一部の人は月間の最多夜勤回数が20日を超えているなど、介護老人保健施設では夜勤の人手不足が目立つと言えるでしょう。
2交代夜勤の場合
施設単位での集計では2交代夜勤制度を導入している施設が88.7%となっており、ほとんどの介護施設で2交代夜勤を導入していることがわかります。
そんな2交替夜勤の施設では、一カ月の夜勤回数を4回に抑えているスタッフが大半です。しかし、「短期入所生活介護施設」では6割もの介護職員が4回を超える夜勤を経験しており、同じく「グループホーム」や「特別養護老人ホーム」でも5割前後の介護職員が平均を超える夜勤を経験しています。
「看護小規模多機能型居宅介護」などでは必然的に平均の月間4回を下回っておりますが、職場環境によっては平均を超す夜勤も多いといえるでしょう。
そもそも夜勤協定とは?
介護職員の夜勤日数の上限が法律で縛られていないことから、介護施設によっては勤務状況が好ましくないケースもあるでしょう。そうなってしまわないように、日本医療労働組合が自主的に施設側と話し合いを行い、独自に上限を設けるように自主的な協議を行っています。
これを夜勤協定と言い、自主的な上限を働きかけることで、夜勤に対する過度な負担が介護職員へ掛からない仕組みを作ろうとしているのです。
介護職員現場における夜勤協定の実態
夜勤協定が締結されていれば、出来うる限り介護職員へ夜勤の負担が掛からないよう施設側が配慮をしていることが想定されます。しかし、夜勤協定の締結率は5~6割程度に収まってしまっているのが現状です。
同調査に回答した117施設のうち、71施設は夜勤協定の有効にしていると認めています。しかし、残る46施設(約39%)の施設が夜勤協定について回答を拒みました。
上記回答を参考にすると、「看護小規模多機能型居宅介護」施設では100%、「介護老人保健施設」では75%と高い水準で夜勤協定が結ばれていますが、「特別養護老人ホーム」では35.3%、「グループホーム」では50%と締結率が落ち込んでしまっているのも事実です。
実際に夜勤協定を配慮していると回答した介護老人保健の6施設では、3交代夜勤で8日以上の勤務をしている人はおらず、夜勤協定の有効性を確認することが出来ます。介護職員現場における夜勤協定の実態として、締結率はいくつか不安が残るものの、勤務環境の改善に役立っているのは間違いありません。
夜勤に関していくつかの不安がある場合は、予め夜勤協定の有無について職場にチェックしておくことをオススメします。