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中西敦士さん

今回は排泄予測デバイス『DFree(ディー・フリー)』を開発された中西敦士さんにインタビュー。気になる製品の評判や実績、会社としてのビジョンなど!さらに、プライベートについてもお伺いしてきました!

中西敦士さんのご経歴

1983年兵庫県明石市生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、大手企業向けのヘルスケアを含む新規事業立ち上げのコンサルティング業務に従事。その後、青年海外協力隊でフィリピンに派遣される。

 

2013年より、UC Berkeleyに留学し、2014年に米国でTriple Wを設立。2015年にはトリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社を設立。

排泄のタイミングの予測ができる『DFree』について

 

まずは、抑えておきたいDFreeの機能をご紹介!

 

DFreeは、適切なタイミングでのトイレ誘導によって、自立支援をサポートします。

 

・膀胱に尿が溜まったことを検知したら、スマートデバイスへお知らせ

トイレ誘導の空振りや失敗の減少につながります。

 

・尿の溜まり具合の見える化、排尿時間の記録は、ケア見直しに役立てることができます。

トイレ誘導・パッド交換のタイミング調整、およびパッドの選定に役立ちます。

また『DFree』という名前の由来は「Diaper Free=おむつ要らず」からきています。

DFree誕生の裏側:漏らして気づいた、世界のニーズ

―「排泄のタイミングを予測する」という画期的なアイディアは、どのように生まれたのでしょうか??

2013年に、きっかけとなった出来事がありました。29歳の頃アメリカでの留学中に、僕が大きい方を漏らしたんですよ。

 

まあその時は凹みましたけど、そんな経験もあって「“排泄のタイミング”が予測出来たら、困っている人は助かるんじゃないかな」と感じたんですよね。

 

インパクトがありますね!中西さん自身も予想できないハプニングが、きっかけとなったんですね。

そうなんです。どうせ何かをするなら、社会的に役に立つようなものや、困っている人の悩みが解決できるようなものをという想いもあったので。私たちの生活と、排泄は切り離せないものですしね。

 

元々介護分野に詳しいわけではなかったんですが『大人用のおむつが子供用のおむつの販売数を上回った』というニュースを見て「おむつってこんなに需要があるんだ」と驚きました。

 

きっかけは、漏らしたことですが、製品化に至った一番の理由は「社会的にニーズがあって、困っている人の役に立つ分野なのでは」と思ったことですね。

 

そして、中西さんはそのアイディアを元に、エンジニアや専門知識を持った方達に声をかけ、DFreeの開発に取り組み始めたという。この形になるまで、7回ほどの改良を重ねたそうだ。たくさんの苦労と努力が積み重なって、製品化されたのだ。

女性の手のひらに収まる程のコンパクトサイズ

 

下腹部に付属のジェルを塗り、シールテープで留めて使用

センサーが膀胱の膨らみを確認することで、排泄の予測をするという仕組み。

世界から注目を集めるDFree

―DFreeは、海外からもたくさん反響があるようですね。世界の反応はいかがですか?

アメリカやヨーロッパからも問い合わせの声を頂いています。アメリカでは個人の需要が高い印象です。フランスでは、介護施設を中心に、導入に向けて話が進んでいますね。

 

最近ではアジアからの反応も多く、中国・韓国・香港・シンガポール・台湾と、様々な国からお問い合わせがきています。

 

―フランスの介護施設でも導入を目指しているんですね!日本とフランスで介護施設の違いを感じることはありましたか?

フランスでは、介護業界での競争が激しくなっているようです。日本でいう有料老人ホームが大規模化しているんです。

 

そういった背景もあって「良いサービスで他の施設との違いを出そう」という風土が強いことが特徴の一つかなと感じました。

 

DFreeの導入検討も一例ですが、良いと思えば、今までのやり方に縛られず、新しいツールや商品の導入に抵抗や迷いがあまりないのかなとも感じましたね。

 

-日本国内の介護施設ですと、導入時に戸惑う職員の方もいらっしゃいますか?

そうですね。介護施設に限らないことかと思うのですが、やはり“今までのやり方”が変わることに不安を感じる方もいらっしゃいます。ですが、実際に導入してからは、喜んで頂くことの方が多いです。

 

なので、現場の方達にこそ商品の良さや、実際の業務の中でどのように落とし込むことができるかを、しっかり伝えることが大切だと感じています。

 中西敦士さん

中西敦士さんに聞く!DFreeが介護施設で役立つ2つのポイント

1.大切なのは、アセスメント!DFreeを使って排泄予想データの取得が可能に

 

施設によっても様々かと思うのですが、既存のマニュアルやスケジュールでは、数時間おきにまとめて、入居者の方のトイレの時間を設けていることも多いかと思います。

 

ただ、実際には各入居者の方の排泄タイミングは異なりますよね。2.3DFreeを装着していただくことで、その人ごとの排泄のタイミングがデータとして見えてきます。

 

最初に計測したデータをもとに、それぞれの方の「トイレットケアが必要な時間(例:日中は3時間に1回。就寝後は23時と2時。など)」を設定することができます。

 

2.DFreeを常時使用し、排泄ケアやトイレ誘導の個別化を可能に

DFreeを常時使っていただくことで、個人に合わせ「そろそろ(トイレに行った方が良さそうです)」「でたかも(オムツやパットを換えましょう)」など、状況を知らせてくれます。

 

個人の状況に合わせて最適なタイミングで、最適なケアをすることが可能になります。

 

介護職員の方や、病院や施設で働く職員の方が1番気になるのは、その“効果”だろう。DFreeを使用して、どのような効果があるのかお伺いした。

介護施設での導入実績

これまで全国約200の施設で導入実績があり、過去の導入事例から様々な効果を見ることができる。

導入事例1:対象者 80代男性、要介護度5(車椅子移動・失禁あり)

DFree使用前

・車椅子での移動ではあるものの、日中はトイレで排泄できる

 

・夜間はナースコールなしで、紙おむつに失禁(週3~4日程度)

 

DFree使用後

・排泄タイミング(3時間)を把握し、夜間のトイレ誘導を行った結果、失禁が減少(2週目からナースコールを押してくれるようになり、失禁回数が毎日最低1回→週1回まで減少

 

・夜間もオムツから昼間と同じリハビリパンツ&パットに変更でき、尿意・便意が復活

 

・紙おむつ等の消費財使用量も半分程度(14,000円⇒7,000円)まで減少

 

排泄の移動が車椅子から独り歩行まで回復し、(排泄介助は見守りのみ)要介護度2に

入居者のご家族
「自分で歩いてトイレに行けるようになって嬉しい!持ち出しのオムツ費用が減ったこともありがたい」

職員
「排泄のタイミングを知って自立排泄を促すことで、要介護度が軽減するなんてすばらしい」

導入事例2:対象者 80代女性、要介護度5(夜間の転倒回数が多い)

DFree使用前

・夜間起き出しが多く、毎月複数回転倒あり。転倒理由は不明だったため巡視回数を増やした(24時~5時で1時間に1度巡視を行う)が、転倒回数は変わらず困っていた。

 

DFree使用後

DFreeの尿意グラフ、通知を参考にして声かけとトイレ誘導を実施。熟睡中は睡眠を優先させた。

 

・トイレでの排泄後は、起き出しなく安眠され、転倒が0回に!

入居者
「トイレに行かないと落ち着かないから、言わなくても察してくれてありがたいです」

職員
「ずっと心配だった転倒がなくなって驚きました!ご家族にも安心していただけました」

導入事例3:対象者 80代男性、要介護度5(数分に一度トイレへの誘導を希望)

DFree使用前

・失禁への不安から、昼夜問わず35分に1度トイレの訴えあり。転倒の危険性からトイレ誘導は日中だけで24回

 

・毎回のトイレ誘導でも排尿はあったが少量であり、膀胱に尿を溜められるか不明

 

・サークル歩行が可能なため、スタッフが対応できない際は、怒って一人でトイレに歩いて行こうとされることもあり、転倒リスクがあった

 

DFree使用後

・夜間のグラフから、膀胱にある程度の尿を溜めることができると判明

 

・グラフを見せることで、本人も理解を示し、DFreeを併用した膀胱トレーニングを実施。結果訴えの頻度も減り日中のトイレ誘導回数が一桁にまで減少

 

・トイレへの不安が解消したことがきっかけで、乱暴な言葉が落ち着き、本来の優しさを持って家族や職員に接されるようになり、レク等にも積極的に参加するようになった。

入居者
「漏らすことに抵抗があったし、不安だった。尿を溜められることが分かって、安心した。以前はトイレを待つことにもイライラしたが我慢できるようになった」

職員
「5分毎のナースコールが1時間毎まで減って、誘導回数も改善した。一緒にグラフを見ながらコミュニケーションを取ることができた」

 

業務効率がアップすることはもちろん、結果がでることで、施設の職員のモチベーションもあがったという。

 

そして、DFreeが与える最大の付加価値は、高齢者の方達に、自信を与えることではないかと感じる。漏らすことへの不安が解消され、トイレに成功することで、活力を得ることができる。

 

自分が健康な時には想像もしないことだが「トイレで排泄をしたい」そんな当たり前の気持ちを損なわせずに、技術の力で、再び実現することができるようになったのだ。

 

―DFreeを導入すると、業務が効率化されたといった事例はありますが?

はい、ありますね。ある施設では、DFreeだけではく、睡眠の状況を知らせるシステムを導入しています。日常の様々なデータを取ることで、実際の介護業務での無駄な時間をカットできているそうです。

 

特に夜勤時間での更衣や、排泄の業務時間が削減できたという実績があります。それぞれの施設で、うまく使っていただけると嬉しいですね。

 

介護施設でも効果を発揮しているDFreeは個人向けの製品もあり、なんとAmazonや全国のビックカメラ・コジマ120店舗でも購入できるという。(製品詳細は是非こちらをご覧ください。)

個人向け

法人向け

中西敦士さんに聞いた!結婚やプライベートについて

「漏らしたことがきっかけで、画期的な製品を世に出してしまった中西さんへの興味が止まらない」読者の方の心の声が聞こえてきます。そこで、プライベートな質問にもお答えいただきました!

 

―休日はどのように過ごすことが多いですか?

読書したり、銭湯に行ったりするのも好きですね。あとはスナックに行ってね。よく歌ってます(笑)歌謡曲から洋楽まで何でも好きですよ。

 

―中西さんファンが1番気になっていることをズバリお聞きします。ご結婚は…?

してないですよ、1回もしたことないです(笑)

 

―ちなみに、好きなタイプは?

もうこれくらいの年齢になると、僕を好きになってくれる人ならありがたいです(笑)

中西敦士さん

 

明るく穏やかな雰囲気で、場を和ませる中西さん。一方で斬新なアイディアを形にしてしまう行動力やアグレッシブさをお持ちだから凄いですよね。

 

「こんなものがあったらいいな」では終わらずに、突き詰めて実現させるパワフルな一面は、男女問わず人を惹きつける魅力があります。最後に、DFreeを扱うトリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社としての想いをお伺いしました。

高齢化社会の問題をテクノロジーの力を借りて解決する

大きなところでは、「老後が心配」という社会をテクノロジーの力で良い方に変えていきたいという想いがあります。

 

私たちは〝超音波で臓器の変化を捉えて予測する“ということを技術的な強みとしているので、それを他にも転用していけたらと思っています。

 

―製品開発は、DFreeだけにとどまらないということですね?

そうですね。現在のDFreeは、排尿タイミングに特化していますが、大便用のデバイスも開発中です。

 

今後についても、様々な臓器の問題を見つけることができるような製品など、実現させたい商品やアイディアは、まだまだたくさんあります。

 

―ある社員の方が、実際に漏らす感覚を知るために、おむつを付けて過ごしてみたこともあるようですね。“社員の本気”が伝わってきたのですが、社員の皆様も共有の認識や、想いがあるのでしょうか?

当社の社員は平均年齢37.9歳と30代半ばですが、みんな老後のことを全く他人事ではないと捉えていますね。

 

自分や家族に何かあっても、できるだけ整った環境で生活したいですからね。何に困っているのか、何が必要なのかを知ることも大事なことですよね。

 中西敦士さん

最後に!中西敦士さんから、ケアラビNEWSの読者の皆様へメッセージ

介護職って凄くクリエイティブなお仕事だと思うんです。大変さや難しさも多い中で、自分が受けたいと思うサービスを提供しながら、その業界の水準を上げていくって凄いことですよね。

 

未来を創るお仕事だと思うので、沢山チャレンジをしていただきたいです。職種は違うけれど、目指している未来は、近いものがあるんじゃないかなと感じています。

 

<中西敦士さんのプロフィール>
1983年兵庫県生まれ。趣味は読書と銭湯/慶應義塾大学商学部を卒業/大手企業向けのヘルスケアを含む新規事業立ち上げのコンサルティング業務に従事/2014年に米国でTriple Wを設立/2015年にはトリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社を設立

 

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