「きつく辛いこともあるけれど特養での仕事は楽しい!」そう語る現役の介護職員さんに、ユニット型の特別養護老人ホームでの仕事内容や職場の環境、1日の流れをご紹介してもらいました。特別養護老人ホームに転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
特別養護老人ホームとは
特別養護老人ホームとは、特養とも呼ばれ、社会福祉法人や地方自治体などが公的に運営している介護施設のひとつです。国や自治体からの運営資金援助があるため、サービス利用料が介護保険の1割~2割の本人負担で済むという特徴があります。
要介護度が3以上の高齢者のみが受け入れられ、在宅介護が困難な方のための施設と言えます。厚生労働省の調査によると、特別養護老人ホームでは要介護度4~5の人が半分以上の割合を占めていて、このことからも低度の要介護度の方は利用できない施設だと分かります。
今回紹介するユニット型個室タイプは、最近になって高齢者の尊厳を守るなどの理由に増えてきた新型施設です。
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特別養護老人の仕事内容
ユニット型特別養護老人ホーム(以下「特養」)の基本的な仕事内容は、利用者様の身の回りに関すること「全般」です。例えば、ベッドから起き上がれるように介助したり、パジャマから普段着への着替えを手伝ったり、食事を利用者様の口に運ぶ食事介助や、身体を洗う入浴介助など生活に関わるあらゆることをお手伝いします。
このような基本的な介助の他にも、居室の掃除やシーツ交換、さらに食事の盛り付けなどを行うこともあります。また、体を動かす仕事以外にも、利用者様のお話をしっかり聞くこと(「傾聴」という技術)や、利用者様のご家族の対応、他の職員に情報を伝えることなど、コミュニケーションをとることも大切な仕事の1つです。
特別養護老人の職場環境
特養では多くの職員が働いています。介護職員の他にも、看護師や機能訓練指導員などが配置されています。介護職員は、看護師による利用者様の健康管理や、機能訓練指導員によるリハビリ(身体機能の維持や回復)をサポートします。
また、事務員や調理師として裏方で働く方も一緒になり利用者様の生活を支えています。
※理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師いずれかの資格を持つ人が機能訓練指導員として配置されます。
特別養護老人の1日のスケジュール
〇早番の1例
7:00 出勤。夜勤の職員から夜間帯の申し送りを受けます。
7:10 利用者様が起きて食堂へ出てくるのを介助します。
8:00 朝食。食事をしっかり食べられるように介助をします。
9:00 入浴。入浴前には血圧などを測定し、体調に問題がないか確認します。身体を洗う介助も行います。
11:00 昼食の準備。お茶を準備したり、食事を盛り付けたりします。
12:00 休憩
13:00 利用者様の日中の記録や、午後の入浴準備をします。
14:00 レクリエーション。体操などを行います。
15:00 おやつの準備。必要に応じて食事介助をします。
16:00 退勤。
※利用者様の希望時にトイレ誘導などの排泄介助も行います。
特別養護老人に向いている人
体調管理ができる人
特養の入居者様は、病気や障がいによって、自立した生活が困難とされた方が対象となるため、介護度の高い方が多く、介護職員の身体の負担が大きいです。また仕事が多忙で、夜勤もあるため、体調管理が重要です。
複数の仕事を同時にできる人
基本的に1ユニット(利用者様10人程度)を職員1人で担当することになるので、効率的に動く必要があります。例えば食事の準備をしている時に、トイレに行こうとしている利用者様がいるケースなど、1人で複数の仕事に同時に対応する必要がある場面が多くあります。
利用者様としっかり向き合いたい人
長く入所することが可能な特養では、終の棲家として利用する方が多く、長期的なケアをすることができます。そのため家庭的な雰囲気の中で、利用者様との信頼関係が築きやすいです。
特別養護老人のやりがい
利用者様に合わせた支援ができる
従来型特養で働いていると、施設の都合を優先した介護に疑問を感じることもありました。しかし、ユニット型特養では、利用者様の都合を優先して介護する「個別ケア」を行うことを目的としているため、「利用者様のために」と強く実感しながら働くことができます。
介護技術を磨くことができる
1人で1ユニットを対応することになるため、基本的な介護技術だけではなく、傾聴などのコミュニケーション技術や痰の吸引など多様なスキルを学ぶことができます。また利用者様の中には認知症の方もいらっしゃるので、認知症の方への対応力を身につけることができます。
特別養護老人のエピソード
介護福祉士の資格を取り、仕事にも慣れてきたと感じていた、ある夕食後のこと。利用者様が誤嚥(気管に食べ物が入ること)を起こして呼吸ができない状態になっているのを発見し、血の気が引いていきました。日中であれば、すぐに看護師に知らせて、協力して対応するのですが、夜間だったため看護師はすでに帰宅していました。
そのため他のユニットから応援を呼び、このユニットを担当していた私が中心となり、吸引や緊急連絡を行うことになったのです。結果的には事なきを得ましたが、この一件で自分の仕事が「人の命を預かっている」ことを再認識しました。また、ユニット型特養では各スタッフの責任が大きいため、緊急時に冷静にスムーズな対応ができるよう、より多くの勉強が必要なことを実感する機会となりました。
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