
介護施設の管理者は「売り上げを伸ばすこと」が求められます。良い介護サービスを提供しても、それに伴った売り上げや利益が返ってくるとは限らないため、経営の厳しさに悩まされている施設長も多いのではないでしょうか。利益を出すための仕組みを書籍や学校で学んだとしても、現場で実践することは簡単なことではありません。
そこで、会社員時代に営業の管理職を経験し、現在介護施設の管理者として働いている私の経験をもとに、売り上げを伸ばすために必要な数値管理能力をご紹介します。
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数値管理能力とは
数値管理能力とは、「業務を数値化して管理すること」です。数値化と聞くと、一般的には売り上げや保険請求業務のことだと考えられるかと思いますが、管理者の業務は全て数値化しデータとして管理できるのです。
数値化するメリットは、いつまでに何をすれば売り上げがどのくらいになるか、明確になることです。これが介護施設管理者に求められる、数値管理能力です。「すべての業務をデータ化する方法を身に付ければ、一流の介護施設管理者になることができる」と私は考えています。
では、実際にどのように数値化すればいいのでしょうか?数値化が難しいイメージのある「アセスメント」「介護記録」「緊急対応」について、その方法をご紹介します。
アセスメント
アセスメントシートに「紙おむつ」「パット」などを記入します。これをもとに利用日数を掛ければ費用が出るため、「費用を予想すること」と「施設の利益を計算すること」に役立ちます。
介護記録
介護記録の内容を充実させるために、職員が提出した介護記録に点数をつけることをオススメします。それを年間評価の1つにすることで、介護記録の質の向上を見込むことができます。また可能であれば、介護記録は紙媒体ではなく、Excelで管理することで、体温やバイタルなどをグラフ化することができ、利用者様の変化にいち早く気づくことができます。
緊急対応
緊急対応は事故報告などで記録されていますが、こちらも紙媒体ではなくExcelへの記録をオススメします。そうすることで、施設の平均介護度や季節の違いなどが、緊急対応にどのような傾向をもたらすのかを推測し、介護職員や看護師のシフトの調整に活用することができるのです。
数値管理能力とともに計画も重要
売り上げを伸ばすためには、数値管理能力とともに「計画作り」も重要です。せっかくデータを数値化しても、計画がないと無駄になってしまうからです。
私達は、日常の生活の中で計画を立てて、それを実行しています。例えば、車を買うために貯金をしたり、夏休みの宿題を期日に提出するためにコツコツ取り組んだりしています。
ところが、介護施設の管理者になると、忙しさを理由に「計画など作れない」と諦める方が多いように思われます。確かに管理者は、シフトの作成から、契約関連の手続き、保険請求、施設備品など様々な管理業務があります。さらに、緊急対応や利用者様のご家族対応なども加わり、管理者の業務は多忙です。
しかしそれでも、忙しいことを言い訳にせず、しっかりとした計画を立てるべきです。データを数値化し管理し、計画を立てて実施することで、必ず売り上げは上がると私は考えています。
まとめ
介護施設管理者は「施設の売り上げを伸ばすためのポジション」です。これは、質の高い介護サービスを利用者様に提供をすることを約束することでもあるのです。そのためには全ての業務を数値化できる数値管理能力が必須になると私は考えています。ぜひ業務を今一度見直し、徐々に数値化してみましょう。