社会福祉主事という資格をご存知でしょうか。
社会福祉主事とは、正確には「社会福祉主事任用資格」と表現され、社会福祉に携わる仕事に任用される為の資格です。
社会福祉に携わる公務員として市役所などで働くために必要となる資格で、社会福祉士などの国家資格を所持している場合も、社会福祉主事任用の資格を満たしているとされます。
社会福祉の第一線の仕事は、福祉サービスを利用する窓口となる市役所や福祉事務所であるとも言え、全ての福祉サービスの提供は、窓口から始まります。
今回は公務員として福祉の第一線でも活躍する、社会福祉主事という資格についてご紹介いたします。
社会福祉士と社会福祉主事の違いはこちら
目次
どんな場所・働き方ができる?
地方公務員として、社会福祉の第一線で働く
社会福祉主事という資格で就職する場合、多くは地方公務員として働くことになります。 先述した市役所の窓口では、福祉窓口などに社会福祉主事の配置が義務付けられており、事務員などに従事します。
福祉事務所の設置される自治体では、福祉事務所で母子相談員や査察指導員などの福祉系専門職として働くことが出来ます。
また、少し珍しいケースでは、刑務所から出所した方の更生施設の求人などもあり、社会福祉施設等の施設長の任用要件を満たす場合もあります。
窓口業務は社会福祉において非常に重要です。福祉サービスを受けるためには、自ら窓口などに赴いて申請をすることが必要とされます。そのため、全ての福祉ニーズを抱える利用者は、最初に申請のために窓口を訪れるのです。
その窓口で、利用者と適切な福祉サービスを繋げる役割を担う社会福祉主事は、福祉現場の第一線で働くソーシャルワーカーと言えるでしょう。
社会福祉主事任用資格はどうやって取得できる?
大学で実はあなたも取得しているかも?指定3科目とは
福祉現場の第一線で働く社会福祉主事ですが、その任用資格を取得する方法はなかなか特殊で、一番ポピュラーな取得方法は、大学等での指定3科目の履修です。
指定3科目の中には、社会福祉概論などの社会福祉の専門科目以外にも、法学や社会学、心理学、栄養学なども含まれます。
また、特に大学の指定もありません。そのため学校教育法で、大学と認定を受けている文系大学を卒業している場合、知らない間に取得している可能性もあります。
このような特殊な取得方法であるため、資格証明書のようなものは存在せず、職場に提出する際などには、大学の履修科目が記載された成績証明を使用します。
資格の証明書が存在せず、多岐にわたる指定科目の中には読み替えて取り扱うこと(「法学」を「法律学」や「法律」といった科目で読み替える)が認められるものもあり、卒業年代によって科目も変遷しているので「調べてみたら自分も取得していた」なんていうこともあるかも知れません。
資格が認められない場合もあるので注意
大学での履修において「一つの大学で、卒業までの間に3科目を履修する」必要があるので注意が必要です。
例えば一つ目の大学で1科目を、二つ目の大学で2科目を履修している場合や科目等履修制度を利用した履修では、資格が認められない場合があります。
社会人が取得を目指す場合
現在、社会福祉主事任用資格を所持しておらず、大学に通うことが難しい場合、都道府県の開催する講習会への参加や通信講座での取得も可能です。
但し、これらは基本的に現在福祉事務所で働いている方などを対象としており、誰でも受講できるわけではありません。
そのため福祉事務所などで勤務していない場合に、最短で社会福祉主事任用資格を取得する方法は、介護系専門学校などの指定養成機関を卒業することでしょう。
早ければ2年課程で卒業でき、社会福祉主事以外の資格取得も目指すことが出来ます。
3.資格取得後には、どんなキャリアの選択ができる?
福祉業界の第一線で働きつつ、より専門性の高い資格を目指すきっかけに 社会福祉主事任用資格は、資格を取得することが社会福祉業界でのキャリアのスタートと言える資格で、精神保健なら精神保健福祉士、障害者支援なら社会福祉士、高齢者支援なら介護福祉士など、より専門性の高い国家資格へ、キャリアアップするための土台となる資格です。
社会福祉業界で働く中で、自分の興味の対象を見つけたり、やりがいを感じる場面を発見したりすることは、自分のこれからのキャリアを考えるきっかけとなるでしょう。
また、直接社会福祉主事として働かなくとも、社会学や法学など社会福祉主事の要件となっている多くの科目は福祉分野で働く上で役に立つ知識ばかりで、介護施設などで働く上でも決して無駄になる資格ではありません。
精神保健、障害者支援、高齢者介護に生活困窮者支援と社会福祉の分野は多岐にわたりますが、そのどれにでも関わることの出来る資格として、社会福祉主事という働き方も検討してみてください。