介護業界から離れる理由として、体力的に辛いといった声をよく聞くかと思います。現在まさに介護業界で働いている方や介護業界への転職を検討されている方にとっては、体力的な負担の大きさというのは懸念される点に違いありません。
介護業界では、何歳まで働くことができるのか。また何歳から働くことができるのか。
今回はそこに注目して紹介していきます。
目次
いくつまで介護業界で働けるか転職エージェントが回答
では、実際に介護業界ではいくつまで働くことができるのでしょうか?
シニアの転職事情に詳しい、クリックジョブ介護のベテラン転職エージェントMさんに聞いてみました。
-60代70代でも介護業界に転職できるのでしょうか?
職場によりますが、利用者様と年齢が近い同年代の方を歓迎する職場はあります。
私の経験ですが、60代の方は、介護業界でお仕事を探すのは難しくありません。
70代の方は、まずは登録ヘルパーとして、週に数回勤務し、家事支援を中心ご自身の体力と相談しながら勤務をされるのがいいかと思います。
-60代で正社員を目指すことはできるのでしょうか?
資格や介護業界での経験があれば、難しくありません。
資格は介護福祉士を持っていますと、大変有利です。
-60代から介護業界に入ると、長く働くことはできるのでしょうか?
介護業界は、他の業界と異なり、65歳定年まで長く働くことができます。
また他の業界では、定年前に給与が減ったり、役職定年がありますが、介護業界にはそれがほとんどありません。
また、65歳の定年後も嘱託社員として勤務できる職場もあります。
ボーナスがあり、処遇改善手当がもらえる職場ですと、定年前とほぼ同じ条件で働くことができます。
これは他の業界ではなかなかなく、介護業界ならではのメリットといえます。
-以上のことから、介護業界では60代70代の方も働くことができることが分かりました。しかし、それでもシニア世代が介護業界で活躍できるか不安な方もいらっしゃるかと思います。そこで次は、現在介護業界で働いている方の、実際の平均年齢や年齢層を見てみましょう。
介護職の年齢層は高く、60代70代も活躍
こちらは男女合わせた全体での介護職者の年齢階級をグラフ化したものです。
平成30年(オレンジ色の棒グラフ)と10年前の平成20年(青色の棒グラフ)の調査を比較したものです。
まず大きな違いとして、平成30年調査では70歳以上という回答項目が設置されており、それだけ高年齢の介護職者が想定されていることが分かります。実際に介護職者の4.6%は70歳以上という結果が出ていることからも、高齢での介護職者が多数存在していることが分かります。
介護職者全体の人数が大きく増加している中、40歳から45歳の介護職員だけは割合としても増加していることもあり、平均年齢は44.4歳から47.7歳へと上がっています。
また、女性が多数を占める点にも注目です。
介護現場では女性が多数活躍しています。施設長などの管理者やケアマネジャーなどのデスクワークの割合の大きな職種で働いているのではなく、介護の現場で、多数の女性が、それも中高年を迎えられた女性が働いているのです。
体力に溢れ、介護技術に優れる熟練の介護職が長く働いているだけでは、このような数字にはなりません。
特別な能力や素養のある方だけではなく、60歳70歳を迎えた方も働き続けることができる。
それが介護業界であると言えます。
シニアが介護業界で働くメリット
利用者様に寄り添うことができる
そもそも、介護業界で長く働くこと、中高年を迎えて介護業界で働くことにメリットはあるのでしょうか。
大きなメリットとして、多くの中高年のヘルパーが口を揃えて「高齢者の気持ちがよく分かるようになった」と話されます。
自身が中高年を迎えて、体力の低下や老眼なども感じていく中、同じことに悩む高齢者の気持ちがよく分かるのです。
介護において、利用者様の気持ちが分かるというのは大切なことです。加齢に伴い出来ないこと、分からないことの増加に戸惑い苦しむ高齢者の気持ちを理解し、寄り添うことができればそれだけで利用者様と信頼関係を築く一助となることでしょう。
近い年齢だからこそ分かる思い、共感できる悩みがあることは、大きなメリットと言えるものです。
勤務形態の自由度が高い
次に、早出や遅出、夜勤専属、家の近くの利用者様に限った訪問介護など、働き方の自由度が高いというのも大きなメリットです。
特に中高年層で正社員雇用を考えていないなら、介護業界は自由に働くことの出来る職場と言うことができるでしょう。
これは人材不足に悩まされる介護業界ならではのメリットかも知れません。
早出専属であっても、担当利用者様一人だけであっても、一人でも多くの職員が欲しいという事業所が少なくないのです。
これは後ほど紹介する、中高年層でも長く介護業界で働き続けるポイントにも繋がります。
シニアが介護業界で長く働くデメリット
体力的に辛いこと
反対にデメリットを考えれば、体力的に辛いことが挙げられます。
どれだけ介護技術を向上したとしても、最終的に利用者様の体重を支えるのは介護者の筋肉です。大きな筋肉を利用し、てこの原理を活用し、重心を近づけたとしても、負担はかかります。
若く体力がある世代にとって、大きな筋肉にかかる10キロ程度の負荷は耐えられるものでしょう。十分な介護技術があるならば、負担は小さく感じられます。 極端に言ってしまえば、10キロの米袋を運べない20代はあまりいません。
しかし、中高年の介護者にとっては10キロの負荷でも大きな負担であることが少なくありません。これは介護技術の問題ではなく、10キロの米袋であっても重いのであれば身体能力の問題です。
膝や腰への負担は、背筋や大腿筋などの大きな筋肉の筋力が不足している状態では抑えることのできないものになってしまいます。
加齢に伴う単純な身体能力の低下が、大きなデメリットとしてのし掛かってきます。
不規則な勤務形態
更に、夜勤や早出などの不規則な勤務形態の負担もあります。正社員として働くのであれば、夜勤や早出が存在する事業所で働くことは難しいかも知れません。
やはりデメリットは小さくないという点を忘れてはいけません。
介護業界でより長く働き続けるための方法
では、デメリットも少なくない中で介護業界で働き、長く続ける人たちはどのように働いているのでしょうか。
長く働くためのポイントは職場選び
ポイントの一つは職場選びにあります。
介護労働安定センターの平成30年度介護労働実態調査によると、介護関連職種全体での平均年齢は前述の通り47.7歳とされています。この時点で介護業界全体での高齢化は見て取れるところですが、特に訪問介護では平均年齢が54.3歳まで更に上がります。
特別養護老人ホーム、グループホーム、ショートステイなど様々な事業所形態の存在する介護業界の中でも、訪問介護は中高年であっても働きやすい職場であると言えるでしょう。
大きな理由の一つは、ある程度自分で担当する利用者を選ぶことが出来る場合が多いという点です。
訪問介護に限らず、介護の仕事には大きく分けて3つの業務が存在します。
①身体介護は直接身体に触れる必要性、可能性のある介助で、分かりやすい内容としては入浴介助などが含まれます。
②家事援助はそのまま家事の援助のことで、掃除や洗濯、調理などが含まれます。調理は身体に触れないため家事援助で、食事の介助を行う場合は身体介護になります。
③介護事務とは介護保険上の請求業務などで、ケアマネジャーやサービス提供責任者を中心として事務員や介護職
員が補助を行うこともあります。特別な資格が必要な場合もあり、正社員が担当する場合がほとんどでしょう。
事業所にもよっても異なりますが、多くの訪問介護事業所では訪問介護員の都合にある程度合わせて担当する利用者様を選ぶことができます。
そのため、身体介護を行う必要のある利用者様、家が遠く自転車等での訪問が難しい利用者様は断ることもできるのです。
優先的に家が近くて家事援助を提供する利用者様を担当することができれば、身体的な負担を小さく抑えつつ介護業界で働き続けることができます。
特に中高年層の女性にとっては家事援助のサービス内容は日々の主婦としてのノウハウが活かせるため、働きやすく感じることでしょう。
負担の少ない施設、勤務時間を選ぶ
他にも、デイサービスと呼ばれる通所介護施設は毎日利用者様が通ってくる事業所のため夜勤がなく、車での送迎で通えることが前提であるため少なくとも寝たきり高齢者の対応はほとんどありません。
また有料老人ホームや特別養護老人ホームなどの入居型の施設であっても、早出専属や遅出専属といった勤務形態の施設もあります。入浴介助は遅出が担当するという施設であれば、早出専属スタッフは夜勤にも入浴介助にも従事しない勤務形態ということになります。反対に早出が入浴介助を担当する施設で、遅出専属で勤務というケースもあるでしょう。
徹夜が負担でないなら、あえて夜勤専属で勤務するという手段も検討できます。夜勤は多くの入居者が入眠しているため、定時の巡回や排泄介助の他にはイレギュラーが発生しない限り業務負担自体は小さいという施設もあります。二人体制、三人体制の夜勤というのは、人によってはおすすめの職場です。
職場、働き方を工夫すれば、介護業界でも長く働くことはできる
介護はキツイと聞いたから、今の職場では入浴介助が必須で体力的に負担だから、と介護を諦めてしまうことはありません。
人材不足に悩み続ける介護業界だからこそ、多少わがままに職場探しをしても働くことができる職場はあります。
特に正社員ではなくパート職員、非正規職員という雇用形態であれば、自由に働くことができる可能性も高くなります。
シニア世代でも、職場や働き方を工夫することで、一般的な定年を超えて70代まで働くことも可能です。
ただしそういったシニア世代の方向けの求人は公開されていなかったり、自分の力だけで求人を探すことは困難です。
そのため「クリックジョブ介護」のような介護転職サービスを利用されることをおすすめします。
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