介護事務に役立つ資格、介護事務管理士とケアクラークの違いとは?

介護事務は、似た内容で複数の民間資格が存在しています。
認知度の高い資格として、「介護事務管理士」や「ケア クラーク」が挙げられますが、この両者はどこが違うのでしょうか?
これから受験を考えている方は、参考にして頂ければと思います。

そもそも介護事務の仕事内容とは

まずは、介護事務の仕事内容について見ていきましょう。

 

介護事務の主な業務は、介護報酬の請求です。

介護保険サービスは、利用金額のうち利用者は1割のみを自己負担し、残りの9割は国や県が負担する仕組みになっています。
そのため、老人ホームや訪問介護事業所などの介護事業所では、介護保険制度の定める介護報酬のルールに則って、介護給付費明細書「レセプト」を書き、請求します。

 

この事務作業をするのが、介護事務職です。
介護保険制度についての知識が必要ですし、ソフトを用いてパソコンでレセプトを作ることが多いので、パソコンの基本的な操作技術も求められます。

「介護事務管理士」と「ケアクラーク」の違いとは

出題内容

介護事務管理士・・・介護請求事務に関する知識が主に問われる、しっかりとした介護報酬算定の知識とスキルが身につく

 

ケアクラーク・・・コミュニケーションスキル、福祉、医学全般の知識など出題の幅が広い、介護事務関連の幅広い知識が見につく

難易度

介護事務管理士・・・合格率5割

 

ケアクラーク・・・合格率7割

※どちらも本番試験に資料を持ち込めるため、事前に知識を丸暗記する必要がなく、対策次第で合格が十分可能。

おすすめの受験者

介護事務管理士・・・合格率5割、30代、40代の転職を考えている受験者が多い

 

ケアクラーク・・・合格率7割、これから就職を目指す方、また実務経験者の受験が多い

資格取得にかかる費用と学習期間の目安

介護事務管理士

(ソラスト)  3万9420円(4ヶ月)
(ユーキャン) 3万9000円(4ヶ月)

 

ケアクラーク

(ニチイ) 通信3万9600円(4ヶ月) 通学6万9950円(1.5ヶ月)
(ヒューマンアカデミー)3万5000円(4ヶ月)

 

ニチイの通学講座を除き、通信講座はどれもほぼ横並びな金額で、試験の受験料も6500円、6700円であり、費用に関してはそこまで差がないことが分かります。
学習期間を比べても、一律4ヶ月程度ということでした。

介護事務管理士とは

介護事務管理士は、「JSMA(株式会社技能認定振興協会)」が認定する介護事務資格です。2000年、日本初の介護事務者の資格試験としてスタートしました。

 

本協会は、介護事務資格以外にも医療事務、調剤事務、医師事務作業補助者、メディカル・ケア・サポーター(看護助手)など医療と福祉の分野で常に先進的な技能認定試験を実施しています。
また、介護事業や、医療事務講座・調剤事務講座などの運営を行う株式会社ソラストと提携があり、介護事務講座や試験問題集、自宅模擬試験など手厚い試験対策が用意されています。

試験概要

試験は、学科試験(マークシート形式10問)と実技試験(レセプト点検とレセプト作成)で構成されています。

受験資格は特になく、どなたでも受験できます。

 

受験料は税込みで6,500円。全国31ヵ所の主要都市で試験を受けられます。

実施は、奇数月の第4土曜日(1月、3月、5月、7月、9月、11月)です。

 

【学科試験出題範囲】
1.法規
・介護保険制度
・介護報酬の請求についての知識
2.介護請求事務
・介護給付費単位数の算定
・介護給付費明細書の作成
・介護用語についての知識

【実技試験出題範囲】
・レセプト点検問題(1問)
・レセプト作成  (2問)

合否の判定

学科試験が70点以上、実技試験の問題ごとに50%以上の得点があり、なおかつレセプト作成は3問の合計で70%以上
実技試験をいかにクリアするのかが鍵になるでしょう。

合格率

難易度がやや高く、50%となっています。合格者には「介護事務管理士」の称号が与えられます。

受験層

幅広い年齢の人がチャレンジしていますが、受験する人は30代がもっとも多く、次いで40代、20代という順番になっています。

 

ケアクラークとは

ケアクラークは「一般財団法人 日本医療教育財団」の認定する資格です。
本財団は、医療・介護・福祉分野の体制整備や技能向上を目指して活動しており、技能審査認定の事業としては、介護事務のほかにも医療事務、調剤事務、歯科助手、ベビーシッターなどの技能認定試験を実施しています。

試験概要

学科試験と実技試験が課されます。
学科試験は択一式の出題で25問。介護報酬請求事務だけでなく、介護事務職として必要なコミュニケーション力、社会福祉、医学など、幅広い知識が問われます。

実技試験はレセプト作成(2問)が出題されます。

こちらも受験資格はなく、どなたでも受験が可能です。

 

受験料は6,700円。試験会場は47都道府県に設けられ、お近くの会場で受験できます。ケア クラークの試験対策講座としてニチイにて通学講座、通信講座の開講があります。

実施は偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)で、年に6回行われます。

 

【学科試験出題範囲】
1.人間関係
(コミュニケーション)
(1)人間関係の基礎・発達
(2)援助的態度
(3)コミュニケーションの技法
(4)コミュニケーションと人間関係
(5)心理的援助法
2.高齢者・障害者の心理
(1)老化とその心理的影響
(2)高齢者の心理的特性
(3)老年期の精神障害
(4)障害とその心理的影響
(5)高齢者・障害者への対応
3.社会福祉
(1)現代社会における社会福祉の理念と意義
(2)社会福祉サービス体系の概要
(3)社会福祉の遂行と福祉専門職
(4)社会福祉をめぐる我が国の動向
4.老人福祉
(1)高齢者の精神的・身体的特徴や障害
(2)現代社会における老人福祉・老人保健
(3)民間シルバーサービスの社会的意義とその現状
(4)高齢者に対する総合的援助
5.地域福祉
(1)地域福祉の理念と内容
(2)地域福祉の推進方法
(3)地域福祉の現状
6.社会福祉援助技術
(1)社会福祉援助技術の目的・体系・内容
(2)社会福祉援助活動における専門援助技術の体系
(3)社会福祉援助技術と倫理
7.介護概論
(1)介護の役割と範囲
(2)看護・医療および家政との関係
(3)高齢者・障害者の介護
8.介護技術
障害形態別介護技術
(1)食事、排泄、衣類の着脱などの介護の基本的技術
(2)高齢者の介護技術
(3)視覚・聴覚障害者の介護技術
(4)肢体不自由者・内部障害者の介護技術
(5)福祉用具と介護方法
9.リハビリテーション
(1)リハビリテーションの概念
(2)リハビリテーションチームと専門職
(3)リハビリテーションの種類
(4)社会資源と地域リハビリテーション
10.医学一般
(1)人体の構造・機能と病的状態
(2)高齢者の生理的特徴と代表的疾患
(3)公衆衛生の概要
11.介護保険制度
(1)介護保険法
(2)介護保険制度の仕組み
(3)要介護認定から介護サービス計画の作成まで
(4)介護支援専門員
(5)予防給付費・介護給付費の算定
12.介護事務業務
(1)介護事務職員の役割
(2)介護報酬請求業務
(3)指定申請事務
(4)介護関係事業者における個人情報の適切な取扱い

【実技試験出題範囲】
介護報酬請求事務
(1)居宅サービス介護給付費明細書の作成
(2)施設サービス等介護給付費明細書の作成

合否の判定

学科試験および実技試験のそれぞれの得点率が70%以上で合格。
学科・実技試験ともにまんべんなく得点することができれば、合格が近づきます。

合格率

70%近くで、合格者には「ケアクラーク」の称号が与えられます。

受験層

団体受験校として登録されている専門学校や短大、大学、スクール等に通って就職をめざしている人から、実際に現場で働いている人まで、さまざまな人が受験している特徴があります。

まとめ

介護事務管理士とケアクラークの違いは掴めたでしょうか?

職場によりますが、介護事務職として就職した場合でも、受付業務やその他の経理業務を兼務することがあります。また人員不足のときには、介護現場のサポートをすることも考えられます。

 

また、介護報酬の請求制度は思いのほか複雑です。また、3年ごとに法律が改正されるため、常に新しい情報を理解し、事務を行わなければなりません。

 

そのため、既に介護業界で働いていて、ある程度制度について把握できていると思っていても、今の制度が認識と違っていた、ということも起こりえます。転職を考えている方は、是非受けてみましょう。

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