
「最近、介護美容という言葉をよく聞くけど、具体的な実施内容が分からない」「介護美容を取り入れるかどうか、検討している」など、お悩みの介護職員も多いのではないでしょうか。
近年は、高齢者のQOL向上のため、介護美容が注目されており、介護美容を取り入れている介護施設も多くあります。
しかし、「介護美容」という言葉を聞くことはあっても、実は詳細までは知らないという方も多いでしょう。
本記事では、介護美容の基礎知識や効果、具体的な5つの実施内容を紹介します。
介護美容に興味がある方、介護美容について知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
介護美容とは

介護美容は、要支援・要介護認定を受けた高齢者や、身体に障害のある方への美容サービスを指します。
美容関係の技術のほかに、介護技術を習得した施術者が、ヘアケアやメイク、ネイルなどを提供します。
施設に専門の技術者が来るため、外出が難しい利用者さんも、店舗と同じクオリティの施術を受けられるのが特徴です。
介護美容の目的と効果
介護美容は、単に外見を綺麗にするだけではなく、利用者さんの尊厳を保ち、社会とのつながりや意欲を高めることを目的としています。
自尊心・自己肯定感の回復や、精神的な安定、コミュニケーションの活性化などを促し、生き生きとした生活を支援することを目指しています。
具体的な効果としては、以下のようなものがあげられます。
- 心理的な効果
- 身体的な効果
- コミュニケーションの活性化
心理的な効果
介護美容を受けると、見た目がきれいになるだけではなく、前向きな気持ちになります。
身だしなみを整えることは、利用者さんが自分らしさを取り戻すことに繋がり、気持ちの安定や自尊心の向上が期待できます。
これを化粧療法といい、長期的に継続することで、幸福感を高め、マイナスな感情を軽減してくれます。
身体的な効果
介護美容において、高齢者が自分で、メイクやネイルアート、爪切りなどをすることもあります。
その場合、細かい作業になるため、手指の巧緻性(器用さ)が保たれ、ADL(日常生活動作)の維持・向上に繋がります。
鏡を見て口紅を塗る、化粧水を塗るなどの動作が、肩や腕の可動域改善、手指のリハビリにもなるのです。
コミュニケーションの活性化
介護美容の効果は、コミュニケーションの活性化にもおよびます。
見た目がきれいになることで自己肯定感が高まり、スタッフや他の利用者さんとの会話が弾みやすくなるため、コミュニケーションの活性化が期待されます。
コミュニケーションを積極的におこなうことで、認知症予防やうつ症状の緩和など、さまざまなメリットをもたらすでしょう。
介護美容の具体的な実施内容

では具体的に、介護美容ではどのようなことを行うのでしょうか。
以下の5つが、現代の介護現場では多く取り入れられています。
- ネイルケア
- ヘアケア
- スキンケア
- メイク
- マッサージ
1つずつ紹介しますので、介護美容の導入を検討している職員は、ぜひ参考にしてみてください。
ネイルケア
介護美容ときくと、「福祉ネイル」が一番に思い浮かぶ方も多いでしょう。
ネイルケアには、爪が伸びすぎたり、汚れがたまったりするのを防ぐ目的での「爪切り」や「甘皮処理」、マニキュアなどを用いた「カラーリング」が含まれます。
ただし、福祉ネイルでは、ジェルネイルや、複雑なアートなどの時間がかかる施術は、原則として行われません。
ネイルサロンでカラーリングの施術を受けると、1~2時間ほどかかりますが、福祉ネイルは10~20分の短時間でおこなわれます。
また、誤飲や誤嚥のリスクを避けるため、細かいパーツを用いずに施術をおこないます。
福祉ネイルでは、速乾性の高いネイル製品を使用したり、施術内容をシンプルにすることで、施術時間を短縮し、高齢者にかかる負担が少なくなるようにします。
利用者さんの健康状態を、常に確認しながら施術をするため、体力に自信がない利用者さんも、安心して利用できるでしょう。
ヘアケア
ヘアケアは、カットやカラー、パーマ、シャンプーなどのことをいいます。
定期的に髪をカットすることで枝毛や切れ毛を予防し、清潔感を維持することができます。
高齢者や障害をお持ちの方の場合、移動介助が必要だったり、意思疎通が難しかったり、なかには、ベッド上でヘアケアをおこなう必要があるケースもあります。
その場合、美容師、理容師の知識・技術に加え、介護福祉に関する正しい知識を身につけている「福祉美容師」という方に依頼できると安心です。
介護美容は、利用者さんの状態にあわせた臨機応変な対応が必要です。
スキンケア
スキンケアは、肌を清潔に保ち、潤いを与えることが目的です。
高齢になると、皮膚のバリア機能を支える「水分」や「皮脂」が減ってしまうので、肌の弾力やハリが失われ、乾燥しやすくなったり、肌が敏感になったりします。
そのため、保湿クリームやローションを使用して、保護をする必要があります。
入浴後などはもちろん、メイク前など、定期的にスキンケアをするタイミングを決め、スキンケアがおこないやすい環境になるように、持ち運び用のセットにまとめるなどすると、良いでしょう。
スキンケアは、美容目的だけではなく、肌トラブルや感染症の予防に必要なのです。
メイク
メイクは、見た目の美しさだけでなく、利用者さんの心身の健康維持・向上を目的とした、「化粧療法」としても注目されています。
外見を整えることで、気分が明るく、ポジティブな感情がうまれ、自己肯定感や自尊心が高まることで、人と関わるのが楽しくなります。
化粧品を選んだり、ほかの利用者さんや施設の職員、メイクの施術者と会話することで、コミュニケーションを取ることもできます。
ただし、メイクを実施する上ではいくつか注意点が必要です。
特に以下の3点を事前に確認するようにしましょう。
- 「メイクをしたい」という本人の意思があるか
- メイク道具の衛生管理がしっかりできているか
- 利用者さんのアレルギーや疾患を把握し、安全に配慮した化粧品選定ができているか
大前提に、利用者さんが望んでいるケアをおこなうことが重要です。
マッサージ
マッサージは、リラックス効果があり、ストレスの軽減や健康促進など、心身の安定につながります。
マッサージをすることで、血行促進やリンパの流れが改善されるため、冷え性や免疫力の向上にも効果的です。
また、顔へのマッサージは、唾液の分泌促進にもなります。
高齢になると、唾液の分泌量が減少するため、口内のトラブルも増えていきます。
そのため、顔のマッサージは、リラックスという観点だけではなく、健康維持にも重要です。
ほかにも、エッセンシャルオイルを使ったアロママッサージは、通常のマッサージと比べてオイルの香りも楽しめるので、自律神経の改善も期待できます。
強いもみほぐしはおこなわず、あくまで、リラクゼーションの目的で実施されるのが特徴です。
まとめ

本記事では、介護美容の基礎知識や効果、具体的な実施内容を紹介しました。
介護美容は、利用者さんのQOL向上につながることはもちろんのこと、介護施設として介護美容を取り入れることで、利用者さんを新たに募集する際のアピールポイントや、他の施設との差別化にもつながります。
介護美容は、近年注目されているサービスで、高齢化にともない、需要は今後も伸びていくでしょう。
先ほど紹介したように、介護美容には、ヘアケアやスキンケア、ネイルなど様々な種類がありますので、施設に合う物を取り入れてみると良いでしょう。











