【知っておきたい徘徊対策】その原因と有効な対応策とは?

徘徊は、認知症の周辺症状の一つです。
利用者さんが徘徊したときの対応に、困っている介護職員の方も多いのではないでしょうか。


今回は、徘徊の原因や予防方法、対策アイテムについて解説します。
また、徘徊する利用者さんとの関わり方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

徘徊が起こる原因

徘徊が起こる根本的な原因は、認知機能の低下です。
とりわけ、短期記憶の低下が影響しています。

自宅や施設から黙って出て行った際に、記憶障害や見当識障害のために、自分の現在地や時間の感覚があいまいになり、道に迷い歩き続けてしまう行動が徘徊です。

徘徊は、以下の3つの要因が影響を与えてるとされています。


  • 身体的要因
  • 環境的要因
  • 心理的要因

身体的要因

「トイレで用を足したい」「空腹だ」といった身体的な違和感によるものです。


徘徊の原因が身体的な違和感である場合は、飲食をしたり排泄状態を確認したりすることで、徘徊が落ち着く可能性もあります。

環境的要因

環境の変化により「今いる場所に見覚えがない」「居心地がよくない」などの感情が徘徊につながるケースです。


認知症の方にとっては、環境の変化が混乱を招く要因となるため、大きな環境の変化は、できるだけ避けることをおすすめします。

心理的要因

「そろそろ出勤しなければ」「夕飯の支度をする時間だ」など、かつての生活習慣や焦燥感のことです。


心理的要因に見当識障害が加わり、徘徊が起こります。

普段から、本人の行動パターンをよく観察し、ストレスの軽減を図ることが、心理的要因を減らすために効果的です。

徘徊を予防する3つの対策

徘徊を完全に止めることは難しいものの、適切な対策を行えば、徘徊のリスクを軽減できます。
ここでは、徘徊の予防に効果的な対策を3つ紹介します。

集中できる趣味や仕事を見つける

認知症の利用者さんは、何もすることがなく話し相手もいないと、不安になり、外に出ようとする場合があります。


そのため、利用者さんが手持ち無沙汰にならないよう、趣味や仕事を見つけることが大切です。

趣味や仕事に集中できると、その作業中は徘徊が起こりません。


また、趣味や仕事が、利用者さんの自己肯定感を満たし、落ち着いて過ごせる効果もあります。

適度な運動を行う

利用者さんの体内のエネルギーがあり余り、徘徊につながる場合もあります。


エネルギーの発散には、適度な運動がおすすめです。

利用者さんは、心地よい充実感・疲労感を味わうことで、外出衝動が改善されることもあります。


また、散歩のような適度な運動を行えば、心身の健康維持にもつながるでしょう。

どのような運動が適しているかは、個人の状況によって異なるため、医師の指示を仰ぐのも方法の一つです。

生活リズムや体調に気を配る

利用者さんの生活リズムや体調に気を配ることも、徘徊の予防につながります。


夜によく眠れないことが、夜間の徘徊の原因になっている場合は少なくありません。

特に高齢者の場合、夜間に水分不足や便秘、腰痛で不快感を覚えて目覚め、眠れなくなることがあります。


生活リズムを整え、夜に目覚めてしまわないようにする工夫が必要です。

就寝前にトイレを済ませたり、便秘や腰痛の治療を受けたりすることで、体調や生活リズムが整い、徘徊リスクの軽減を期待できます。

徘徊する利用者さんとの関わり方

徘徊する利用者さんと関わる際は、無理に動きを止めたり発言を否定したりせずに、できるだけ傾聴と見守りを行うことがポイントです。


ただし、転倒防止の対策は必要です。
施設内の徘徊で動くルートが決まっている場合は、動線上に椅子などの障害物を置かないように、留意しましょう。


歩行動作が安定していないときには、利用者さんの話に可能な限り耳を傾けるのも方法の一つです。

会話の際には利用者さんの話を否定せず、
「夕飯は何を作る予定ですか?」「家には誰が待っているんですか?」など、柔軟な質問をしてみましょう。


傾聴による安心感から外出衝動や帰宅願望が収まり、徘徊行動が落ち着くことがあります。

徘徊対策に重要なアイテム


徘徊に気づきやすい環境を作るうえで、以下のようなアイテムを用意しておくことも重要です。


  • センサーやドアベル
  • GPS端末
  • 名前や連絡先を記載したもの


施設の玄関に、センサーやドアベルを設置しておけば、外に出ようとする行動にいち早く気づけます。

また、万が一外に出てしまった場合に備えて、位置情報を把握できるGPS端末も役立つアイテムです。

GPS端末には、首から下げられるタイプやポケットに入るタイプ、靴に装着できるタイプがあるため、利用者さんに合ったものを用意するとよいでしょう。

外で徘徊してしまったときに、名前や連絡先がわからなくなった状況を考えて、本人の名前や施設の連絡先を記載したものを持ち歩いてもらうのも有効です。

IDカードのように、首から下げたり、目立たないように衣服に書いておいたりして、複数身につけてもらうことをおすすめします。

まとめ

徘徊が起こる背景には、利用者さんごとに異なる原因があります。

徘徊する利用者さんと接する際は、言動を否定することなくできるだけ傾聴や見守りで対応することが大切です。

また、趣味に集中したり、適度な運動をしたりすることで、徘徊のリスクを減らす効果も期待できます。

今回お伝えした対策を参考に、ぜひ日々の介護に取り入れてみてください。

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