介護施設で勤務を始める前に一番気になるのが夜勤の実態という人も多いのではないでしょうか。休憩はそもそもとれるのか、どのくらいの時間か、仮眠室があるのかなど、さまざまな実態を聞きたいはずです。そこで今回は、介護施設の夜勤実態をご紹介します。
夜勤の実態
日本医労連(日本医療労働組合連合会)がまとめた「2018年介護施設夜勤実態調査」では、3つの全国連合・27都道府県、132施設、174職場、3,646名分の結果が集約されています。
夜勤は負担の大きい2交替勤務が多く、職場単位にデータでも88.5%となっており、厳しい勤務実態が見て取れます。また、人員体制について見てみると2交替夜勤は1人体制が非常に多い状態です。
人員不足であるため非正規職員が夜勤に入ることも多く、有効回答のあった120施設のうち5割以上の67施設が該当しています。
出典:日本医労連(日本医療労働組合連合会)の「2018年介護施設夜勤実態調査」
(3つの全国連合・27都道府県、132施設、174職場、3,646名分の回答)
休憩の実態とは?
調査結果では長時間労働を伴う2交替の夜勤が約9割となっています。
そのうち16時間以上の夜勤が約8割で、長時間の労働が常態化していることがわかります。
16時間以上働いていれば、通勤の往復時間、身だしなみを整えるお風呂や洗顔・メイクなどのスタイリング時間、食事の時間を除くと休まる時間はわずかとなってしまいます。力仕事が多い介護の仕事において、満足に休息をとれない事態は健康が危ぶまれる恐れがあるといえます。
多機能施設の場合は2交替がすべて1人夜勤となっており、休憩時間が少ない・とれないという実態が報告されています。夜勤の時間帯に救急車を要請するなどの対応があると答えた数は約3割。休んでいる間に救急車要請をしなければならない事態に陥ることもあるということです。
休憩時間どのくらいなのか
では実際の休憩時間はどの程度なのでしょうか。
3交替制の場合は休憩と仮眠の合計時間が平均1時間11分。
前回の調査よりも10分程度短くなっています。
2交替夜勤の場合は休憩と仮眠の合計時間が平均2時間10分。
最短が50分、最長が5時間となっていますが、これは就業規則の聞き取り調査となっているため、実態については不明です。
しかし、1人夜勤の場合は間違いなく休憩・仮眠などができない可能性が圧倒的に高いと考えられます。また、救急車要請などの経験がある人も多いことから、調査結果以下の時間でしか休憩できていないことが想定できるでしょう。
仮眠室の有無
このような調査結果を見ると分かる通り、本来は仮眠場所を男女それぞれ分けて設けることが労働安全衛生規則第616条で定められていますが、実際は有効回答があった119施設の4割以上の施設で仮眠室がないという結果になっています。
特に小多機(小規模多機能型居宅介護)や看多機(看護小規模多機能型居宅介護)の事業所は仮眠室がないと答えた数が半数以上。そして短期入所や特養(特別養護老人ホーム)なども4割以上が仮眠室なしと回答しています。
まとめ
このように厳しい実態がある介護業界。今は日本医労連などの実態を明確にする調査が行われています。最近国をあげて働き方改革などを行っていますが、働き方を是正するには、長時間労働の廃止や勤務間隔の確保、適正な人員の配置を実現することが不可欠です。
夜勤手当などをもらって夜勤専従という形で働く人もいます。効率よく稼ぐこともできますし、さまざまな事に対応しなければならないため、スキルアップも可能となります。子育て中で昼間は働く時間が取れない方、時間を有効活用したいというニーズがあるという人は、ぜひその施設の実態をよく確認し、自分にフィットするかどうかを考えてみてください。