認知症の数は年々増加してきており、介護施設でも特養などであれば半数以上が認知症だという所もあります。認知症の方への接し方は非常に難しい反面、ポイントが分かれば対応もし易くなります。今回は認知症の方との上手な接し方のポイントについてご紹介していきます。
感情を大切にする
認知症の方の行動として、よくある症状は短期記憶障害であり、何度も同じことをする、何度も同じことを聞いてくるなどがあります。例えば、食事を食べたのに「ご飯はまだですか?」といった感じです。
この場合「もう食べましたよ」「さっき食べていたじゃないですか」と答えてしまう場合がありますが、認知症の対応としては間違っているといえます。食べた、食べていないという面に目を向けてしまっているからです。重要なのはその人の感情を理解するということです。
自分だけ食べていない、食事を与えてもらっていないという不安感や、寂しいという気持ちにスポットを当てます。そうすると「食べていませんでしたか、今作りますのでちょっとお待ちくださいね」「食事ができるまでこれを(お菓子など)を食べますか」といった対応が出来ます。
短期記憶障害の方は納得してもらうことが大切なのです。感情的に不安定な状態になっているので、不安感を安心に変える対応をしましょう。
放尿がある場合
介護施設や在宅でも放尿は日常的にあります。放尿とはトイレの場所が理解できずに、トイレ以外の場所で排尿をしてしまうことです。このケースは認知症でいう見当識障害に当てはまります。トイレという場所が分かっていないのです。また、違う場所をトイレだと思い込んでしてしまうケースもあります。
まず、なぜトイレで排泄が出来ないのか考えるようにしましょう。一番多い原因はトイレがトイレだと認識できていないことです。例えば、現在の高齢者の方の中には洋式トイレに馴染みがなく、和式トイレだけをトイレと認識する場合があります。
ある施設ではそういった方に合わせて和式トイレを置いているところもあります。また洋式トイレの場合、入り口に「便所」と書いて紙に貼ったりすることが非常に有効な方法となります。
また、その他の原因としては、トイレが分からないことに加えて、排尿が我慢できない場合があります。トイレの場所も分からず、おしっこも出てしまいそうな状態なら、認知症の方は誰も見ていない廊下などでしてしまうことがあります。
その対策方法としては、まずはトイレのパターンを図るということです。放尿するのであれば何時ぐらいにしているのかを記録に付けて、放尿が多い時間帯を知ります。時間帯が分かればその時間に合わせてトイレの促しの声掛けをしていくのです。
介護拒否がある場合
認知症になってしまいますと、しばしば介護に対して抵抗をしてしまうことがあります。おむつ交換をさせてくれない、食事介助を受け入れてくれないなど、程度はありますがなかなか介護を受け入れてくれない状態になる場合があります。
そのような場合はどのようにして介護を提供していけば良いのでしょうか。ポイントとしては、まずは1回、1回お伺いをすることが大切です。介護をするために了承を得るのです。「今からおむつを交換しても良いですか?」という風に声掛けをします。よくあることとしては「今からおむつ交換をしますね」という声掛けです。これは、相手の了承を得ていませんので、拒否される可能性が高いのです。時間はかかるかもしれませんが、了承を得てからすると拒否されることは少なくなるでしょう。
また、介護施設などに入所したてなど、慣れていない頃は拒否が出やすいので注意していきましょう。早く慣れてもらうためにコミュニケーションを多めにとるなどの工夫が必要になります。
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