介護業界で注目される、介護ロボット。総務省が行った調査で、将来ロボットの活躍が期待される分野として、約8割の方が介護分野と回答していることからも、介護ロボットが有望視されていることが分かります。介護業界で働く方なら知っておきたい、最新の介護ロボット事情をお伝えします。
厚生労働省は、介護業界で今後重点的にロボットの開発・支援する分野を、装着型の移動介助、非装着型の移動介助、外出等の移動支援、屋内移動等の移動支援、排泄支援、介護施設向けの認知症見守り支援、在宅向けの認知症見守り支援、入浴支援の8つとしました。今回はそのうちの、認知症の方向けの見守りロボット技術についてご紹介します。
介護施設向け
介護施設において使用が期待されるものが、介護施設型見守り支援機器。センサーや外部通信機器を備えたロボット技術を用いています。天井や壁にセンサーをつけておくタイプや、マット型のものなどさまざまな形があります。スマートフォンなどと連携することができ、効率よく多くの部屋の利用者様を見守ることができます。
現在開発されているものには、赤外線センサーだけでなく人工知能も搭載されており、非接触・無拘束で利用者様を見守ることができます。施設となると多くの利用者様がおり、プライバシーの問題も発生しますが、外部で見る映像では姿勢や動作は特定できても、顔や服装などの個人情報は送られないようになっています。異常を検知したらスマートフォンなどに通知し、映像の確認もでき、声かけでの会話も可能なものもあります。既存の機器との接続もできるため、今利用しているマットセンサーやナースコールをそのまま利用することもできます。
在宅向け
在宅介護においての使用が期待される、在宅介護型見守り支援機器。転倒検知センサーや外部通信機能などを備えたロボット技術を用いています。レーダー技術を用いており、天井や壁に機器をつけることで、離れた場所からでもスマートフォンなどの電子機器で様子を見ることができる形になっています。この機器が発達することで、住み慣れた家で、今までの暮らしを送ることが可能になります。
現在開発されている商品には、スマートフォン、タブレット、PCなどと連結することで、いつでも見守りができるだけでなく、行動パターンなどをグラフ化してくれるものもあり、より早く異変に気づくことができるようになっています。外出や転倒はもちろんのこと、長時間同じ体勢をとっている場合などの通報もできます。人型人感センサーの採用により、プライバシーに配慮したものもあり、今後更なる開発に期待ができそうです。
今回は、介護施設での人手不足や、在宅での高齢者の一人暮らしや若い世代との別居などにより、ますます需要が高まっていく見守りロボットについてまとめてみました。見守り支援機器は、単に高齢者の状態を把握しアラームの都度に対応を促すだけのものではありません。蓄積されたデータを活用し、アラームの発生状況を分析することで、現状のケア内容を見直す手助けとなることができるのです。介護者にとっては負担の軽減や介護サービスの質向上、要介護者にとっては生活の質の向上を見込むことができるのです。