急速な少子高齢化や人口減少といった変化により、介護を取り巻く環境は様々な問題を抱えています。現在日本では、今後も見込まれる介護需要の高まりを受け、介護ロボットの開発・普及を推進し始めています。介護ロボットは、これから日本の介護において大きな役割を担うことが期待されています。政府がとりまとめた「ロボット新戦略」から、介護ロボットを活用した新しい介護の形について知識を持ち、日本の介護の未来について考えてみましょう。
介護ロボットへの考え方
介護は、基本的には人の手によって提供されるものです。しかし、日本では高齢化の進行で老老介護が増加したり、人口減少で介護人員が不足したりと、介護の効率化や省人化が求められてきています。そこで高度なロボット技術を介護に活用することで、介護者、要介護者の双方にやさしい未来を目指しています。高齢者の自立支援や認知症予防のためセンサー技術や人工知能の機能を備えたロボットの導入や、介護負担軽減のためロボット車いすの実現に努めています。このような介護ロボットの実用化を目指し、厚生労働省では介護の現場とロボット開発側をつなぐ環境づくりや、普及活動を実施するなど積極的な支援を行っています。
2020の目指す姿
政府はロボットの利用によって効果が期待される分野として、介護・医療をはじめ、ものづくり、サービス、インフラ・災害対応・建設、農林水産業・食品産業の5分野を特定し、各分野毎に 2020 年に実現すべき目標を設定しました。
介護・医療分野では、強化する介護ロボットの分野を、ベッド等からの移し替え、歩行支援、排泄支援、認知症の方の見守り、入浴支援としています。これらの介護ロボットの開発を進めると同時に、介護保険適用種目追加の要望を受付、地域医療介護総合確保基金による職場環境構築支援を通じて介護ロボットの導入を促進するとしています。
2020 年にロボット介護機器市場を 500億円に拡大するとともに、介護施設で積極的に介護ロボット等を活用し介護者が腰痛を引き起こすなどのリスクをなくすことを目指しています。
日本では急速に少子高齢化が進んだだけでなく、核家族の増加や人口減少に伴って、社会保障などさまざまな問題に直面する課題先進国です。一方、日本はロボットの生産技術や稼働台数は世界に誇れる「ロボット大国」であり、その活用は介護業界にまで期待されています。しかし介護においてロボットを導入しようとするとなると、介護者、要介護者の意識改革や知識はもちろん、介護に関するさまざまな法律や制度の改革も必要になります。
基本的には人の手で提供される介護サービスにロボットを活用するため、人とロボットの適切な関係の構築も求められています。政府は2020年までに介護ロボットの開発、活用を推進し、日本の介護の未来の可能性を広げようとしています。