全国をつなぐ介護バトン!介護業界で活躍中の杉本浩司さん、中浜崇之さん、上条百里奈さんの想いを乗せて、スタートした介護バトン!前回の小池昭雅さんからバトンを受け取ったのは…?
介護の専門学校を卒業し、新卒で入社した特別養護老人ホーム(特養)で約10年間勤めている松本嗣未さん。とにかく現場が好きという松本さん。好きな言葉は、『信じることは救われる』人が良いと思ったことは、まず信じ、実行してみることを大切にしてきたという。リーダー、係長を経て、現在は課長補佐として、今想うこととは。等身大の働く介護女子の想いをお伺いした。
まさか自分が介護職に就くとは
―介護の専門学校を卒業されたんですね。高校生の頃から介護職にご興味があったのですか?
いいえ。実は当時保育士を目指していたので、正直介護職に就くとは思ってもいなかったんです(笑)
私の行こうとしていた保育の専門学校には、学科がいくつかあって、保育と介護のどちらも勉強できる学科がありました。母や学校の先生の薦めもあって、保育だけではなく、介護も学ぶことのできる学科を選択しました。
―そうだったのですね。保育士を目指して学校に入学してから、介護職を選んだのは何故ですか?
母が病気になりまして、専門学校に通っている間に亡くなりました。もっと早く介護の知識が自分にあれば、違うケアができたのではないか、もっと支えることができたのではないかと後悔しました。介護に出会うきっかけを与えた母の影響は大きく、「もっと誰かのケアをして、支えになりたい」という想いから、保育士ではなく介護の道を選びました。
私が介護を続ける理由
新卒で介護職に就いて、10年になる松本さん。介護職を続けている理由をお伺いした。
もちろん、長く介護の仕事を続けていると悩んだり、苦しんだりする時期もありました。でも介護職を嫌いになったことは1度もなくて。
―なぜずっと介護を好きでいるのだと思いますか?
自分には、介護の知識や経験もまだまだ足りないなと感じるのですが、それでも「こんなことをやってみたい」という目標が日々出てくるからだと思います。今は、施設にいるご利用者様がもっと外に出る環境を作っていきたいと考えています。施設周辺の散歩だけではなく、バスツアーに行ったり日帰り温泉に行ったり、みんなで楽しめることを一緒にできたら良いなと思います。
今までも、新しいチャレンジをすることで、結果的に利用者の方達に“ありがとう”と言ってもらえました。だから、良い環境を提供するための挑戦を続けていきたいです。自分の経験も積みながら、喜んで頂ける介護職って本当に得しかないなあと思います。
―現場での入居者の方たちとの関わりの中で目標や夢が見つかるのですね。
そうですね。ですが実は、私はかなり人見知りです。でも、人と関わること自体は昔から凄く好きでした。不思議と利用者の方たちとは、いつでも自然にコミュニケーションを取ることができました。信頼関係を築く過程も凄く幸せで、自分の身体が持つ限り、現場で介護の仕事をしていたいと思っています。
女性のキャリアアップ―「働く」を考える―
リーダー、係長を経て、課長補佐となり、フロアのリーダーとして部下のマネジメントを始めて約5年目の松本さん。これからの展望をお伺いした。
―今後どんな働き方をして行きたいですか?
私は、とにかく現場が好きなのです。役職に就くと、利用者様との関わりが減ってしまうのは寂しくて。現場で利用者の方と関わりながら、後輩のマネジメントに携わることができる“今”がベストかなとも感じています。プライベートでは結婚もしたいですし、一般的には転職を考える年齢だったりするのかなとは思うのですが、まだまだ自分にも課題が沢山あるし、今の現場で突き詰めて、もっと目標を実現していきたいと思っています。
―キャリアアップについて、役職が変わる際はどのように感じましたか?
当時私がまだキャリアアップすることに前向きになれなかった時がありました。しかし、当時の上司の「松本さんが今持っている理想を、後輩達も巻き込んで形にすることができれば、それは介護業界にとって良いことじゃない?」という言葉に納得し、立場を変えながら介護に関わることにも魅力を感じました。今ではチャレンジしてよかったなあと感じます。
―結婚や妊娠を機に、転職や退職を考える女性もいらっしゃいますが、女性の働き方について何か感じることはありますか?
何年か前までは、育休等の制度自体はあっても、退職を選ぶ女性が多かったのですが、最近では実際に育休を使う人が増えてきましたね。前より制度を使いやすくなっているのかなと感じます。
あとは、私は凄く身体も丈夫なのですが、やはり女性は体調に波がある日もありますよね。そんな時に、何も言わなくても、後輩や周りの仲間が凄く自然にカバーしてくれています。日頃から、人を看る仕事をしているからか、お互いに人の変化に気付き合う関係ができているように思います。
―確かに、人を看るプロでもある介護職の方たちだからこそ、仲間同士の様子の把握力も高いのかもしれませんね。
そうですね、いつも周りにも支えられています。なので、私がシフトを組む際には、仲間の体調も気にしながらシフトを組むようにもしています。お互いにカバーし合える環境で働くことができており、有難いです。
介護という仕事の中で、施設の入居者様の日々の変化に気付くプロ集団であるからこそ、共に働く仲間同士の気付きや、支え合う力が優れているのは介護職ならではだと感じさせられた。そして、プライベートでは美味しくお酒を飲むリフレッシュタイムや、美容院や買い物など自己投資の時間も大切にしている。フロアの責任者という役も与えられ、少しでも憧れられる先輩になれるように身だしなみは気を付けるようになったそうだ。
「この人と一緒にいたい」と思われる介護士になりたい
―今の夢や目標は何ですか?
「この人と一緒にいたい」と思われる人間になりたいと思っています。もちろん入居者様もそうですし、そのご家族にも「松本さんのいる施設に入ってもらってよかった」と思って頂けるようなケアがしたいです。職場の仲間にも「この人と働くことができてよかった」と思ってもらえたら嬉しいし、プライベートで付き合う仲間にもそう思ってもらえるような人間になりたいなあと。それが今の自分が目指す姿です。
編集者が伝えたい松本さんの魅力
ご自身では人見知りとおっしゃっていたが、全くそんな風に感じることはなかった。気取らずにサバサバとした中にも、利用者の方や働く仲間への想い、そして介護が好きだという温かさや深みを感じさせてくれる素敵な女性。そして、松本さんの魅力であり、且つ介護職で10年勤務されている秘訣なのではないかと感じたこと。それは「挑戦を恐れずに、素直な心でいること」
環境の変化や、ご自身の役職の変化等に直面しても“まずやってみる!”という想いを大事にしている松本さん。成長を続けるには、苦手なことや困難な状況も素直に受け止め、挑戦してみることが大事なのだということを教えてくれた。言葉にするのは簡単でも、これを実行するのは勇気のいることだ。
環境の変化や新しい取り組みに対して、恐れずに前向きに挑戦を続ける松本さんは、これからもご自身の夢や目標を沢山叶えていくのだろうと感じた。
介護福祉士/新卒から特養勤務/リーダー、係長を経て、現在は課長補佐/好きな言葉は『信じることは救われる』
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