仰臥位
仰臥位とは仰向けの状態で寝る体勢を言います。背中全体が床に面しているため安定しやすく、最も力を使わずにいられるのが特徴です。そのため高齢者や患者の安静を目的とした際に頻繁に用いられています。介護ではオムツ交換やシーツ交換の際に取ってもらう体勢です。しかし仰臥位は背中の突き出た部分全体で重心を支えることになるので、長時間仰臥位を続けていると褥瘡を引き起こしてしまう可能性があります。仰臥位で褥瘡ができやすいのは、後頭部、肩甲骨、背骨、尻、かかとなどです。側臥位の説明のなかでもご紹介いたしましたが、今回は仰臥位でできやすい部分の褥瘡予防についてご紹介します。
後頭部と肩甲骨は大きな枕を使うことで負担の軽減ができます。頭と肩の両方が乗るくらい大きな枕を使ってみましょう。そのほかの背骨や尻などは側臥位の褥瘡予防同様バスタオルなどを巻いて挟みます。挟む際、巻いた折り目が体に当たらないように気を付けてください。折り目の厚みが褥瘡の原因になってしまうこともあります。タオルやブランケット以外にも意外と便利に使えるのが靴下です。靴下は、かかとの褥瘡予防に用います。靴下を内側に巻いていくと、ちょうどかかとがはまるくらいのくぼみができるのです。かかとのためのクッションが完成です。
わざわざ新しい用具を買わなくても、今あるものを工夫すれば体勢による問題も改善することが可能です。ですが褥瘡のいちばんの予防は、定期的に体勢を変えることです。身体の不自由な高齢者に体勢を変えてもらう際には、身体に負担のかからない手順をよく考え、誤ってベッドから転倒するなどの事故が起こらないように十分注意を払いながら行いましょう。また、変えた後の体勢が窮屈でないかまで配慮し、窮屈であれば枕やブランケットを用いて支えを作りましょう。